クボタさんの魔物図鑑 その89

No.111 アウドムライエティ

魔獣類ツノナシウシ科


体長 2.3〜2.5m

体高 2m前後

体重 1520〜1780kg


能力値(野生下での平均値)

『力』500〜650

『魔力』0

『機動力』280〜380


討伐依頼受諾可能最低ランク

F(推定)


・他国の寒冷地等に生息しているらしい。我が国にはいない。

・例の姉ちゃんが薦めてくれた本により存在を知った。彼女との食事中に発覚したのだが……この子はロシバ地方で定期便を動かしている兄ちゃんの妹であったようだ。なるほど、だから彼女のお喋り大好きな所や、勘違いには妙な既視感があったワケか。


寒冷する大地にて生活する事を選び、そこに耐えうる肉体を求め、進化した結果『四足のイエティ』の異名を与えられた魔物……


それがこのアウドムライエティだ。


だから正確に言えば、コイツはイエティではないのである。ややこしい話ではあるが。


改めて説明すると、コイツは※『アウドムラ』が生存競争を避けるため、寒冷地へと移動した後にこのような進化を遂げた魔物なのだ。


他生物との争いを回避するためとは言え、こんな場所に身を投じるとは……やはりコイツはどこまでも平和を愛する魔物であるらしい。


説明に戻ろう。

アウドムライエティとオリジナルとの違いは見た目くらいである。


なので逆に言えば、一目見ればどちらなのかがすぐに分かるぞ。


なにせ分厚い皮膚を獲得しているのでアレよりも体格が良く、もこもことした体毛でそれが覆われているのだ。判別など造作もない。


ちなみに、この皮膚と体毛には勿論体温を維持する目的もあるのだろうが、なんと擬態にも非常に役立つのだそうだ。


やり方はとても簡単、動かなければ良い。

そうすればコイツは全身を包んでいる真っ白な体毛のお陰で周囲の氷雪に溶け込み、雪だるまのようにしか見えなくなってしまうのだからな。


しかし残念ながら、人間にはすぐバレる。


いや、例えバレなかったとしてもその雪だるまを見た者の中には転がしてもっとデカくしたくなる奴もいるはず(?)であり、そいつらに対してはあまり意味のない行動かもしれない……


だが、コイツの擬態は言うなれば〝対魔物〟用だし、仮に正体を見破られたとしてもコイツは絶対に何もしてこないので、そんな空気読めない事はせずに気付かないフリして見逃してあげるべきなのである。






注釈


※ アウドムラ 『クボタさんの魔物図鑑 その87』にて紹介

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