クボタさんの魔物図鑑 その84
No.106 フライ・オルディーン
魔虫類バグリュウ科
体長1.1〜1.3m
体重9〜11kg
能力値(野生下での平均値)
『力』580〜630
『魔力』0
『機動力』400〜580
討伐依頼受諾可能最低ランク
F(推定)
・我が国には生息していない。
・例の姉ちゃんから薦められた本により存在を知った。
これは空での生活を選んだ※1『オルディーン』の亜種、派生種のような魔物、つまり本物のエビフライなのである。
勿論、こうなったのには理由があるらしい。
他国には……絶対いないとは断言出来ないが、少なくとも他国にあるコイツが暮らしている森には※2『ドラゴンフライ』が生息していないから、このような進化をしたのだと考えられているぞ。
逆に言うと、我が国のエビ共は先祖がドラゴンフライを恐れたせいでもそもそ動く事しか出来なくなったのだな……本当アイツ強いな。
フライ・オルディーンの説明に戻ろう。
とはいっても、コイツは生活の場を空へと移しただけで、餌等には全く変化がない。
むしろ羽を手に入れたお陰で〝羽がない方〟もよく食べている小型の魔虫類が捕まえやすくなったのか、そればかり食べているらしいぞ。
まあ、捕まえやすくなるのは当たり前だ。コイツは飛行タイプになった事で機動力が大幅に向上しているのだからな。
ただし、その代償と言うべきか力の能力値と体重がアレよりも減少している。なので今、コイツとドラゴンフライが争うような事があれば、フライ・オルディーンは太刀打ち出来ないだろう……
そんなフライ・オルディーン。
ドラゴンフライこそ敵に回す事は避けたものの、(まあ、いないからな)新たな敵を作ってしまっている。
それは人間だ。
なんでもコイツらは蝉のようにぴたりと木々に張り付き、突然思い出したかのように飛び立つらしい。
それで、どうして人間が敵になるのかと言うと、どうやらそのせいでコイツらは人間とよく接触してしまうらしいのだ。
しかも尖った部分が刺さってかなり痛い思いをしたり、殻と似たような成分で出来ているパリパリの羽の直撃を喰らってしまい、いつまで経っても鳥肌が治らないような者も少なくないと言う。
そのような理由でコイツはかなりウザがられ、討伐依頼が絶えないのだ……
コイツらが人間と和解出来る日は来るのだろうか?いや、来ないな。
最後に余談ではあるが、最近フライ・オルディーンが渡り鳥のように移動し、ロシバ地方に降り立つ姿が発見されたらしい。ちなみにオルディーンの方も同地方にはちょこちょこ足を運んでいるのが確認されているようだ。
なので、コイツらはそこで藻のようなものを食べている事により、全身が赤色になっていた可能性が高いと言う。(藻に含まれているアスタキサンチンのせいだな。この世界にもあるのかは知らんが……まあコイツらが赤くなってるし、多分存在するのだろう。)
そして、この行動は自らを赤く染め、『警戒色』のようなものを作るのが目的だと推測されている。
……俺からすると、昔食べたあの味を思い出すからやめてほしいのだが。
注釈
※1 オルディーン 『クボタさんの魔物図鑑 その83』にて紹介
※2 ドラゴンフライ 『クボタさんの魔物図鑑 その36』にて紹介
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます