番外編 月刊魔物使い

「注意!コチラ本編とはそこまで関係なく、メタフィクション的発言が含まれますので、興味のない方は読み飛ばしちゃって大丈夫ですよ!」


「……は?どういう事ですか?というか、誰に言ってるんですか?」


「まあ良いではありませんか。それでは張り切って取材を始めていきましょ〜!」


いや待て!説明くらいさせろ!


俺の前にいるこの人はネージャさんという名の女性だ。職業は新聞屋、いわゆるマスコミである。


更に詳しくいうと彼女は月刊魔物使いという雑誌の記者であり、その雑誌の中に自身のイチオシ魔物使いを紹介&インタビューするというコーナーを持っているらしい。


で、今回それに選ばれたのは俺だったようで、こうして取材を受けているというワケだ。


俺は最初冗談かと思った。彼女の服装がそれはそれは強烈で……記者どころか不審者にしか見えなかったからだ。


頭にちょこんと乗っかる小さめで可愛らしいトンガリ帽子と、統一感があるとはいえないスチームパンク風のゴーグル。とはまた統一感のない使い込まれた様子の深緑色のジャケット。とはまた(以下略)なミニスカート。これがネージャさんのしているコーディネートだ。


この世界にこんな見た目の人は他にいるのだろうか?渋谷でも探すのは難しいぞ?


童顔かつ容姿端麗でなければすぐさま追い返していた所だ……おっと、今の発言は


「はいはいはいはい!説明終わり!もう皆さん私の事は分かったと思うんで!」


「あ!ま、待って下さい!まだ弁解が……」


「ダメです!円滑に取材を進めるため、終わるまで一人称視点モードは禁止にしますので!」


「は?一人称?」


全く、さっきからこの人は何を


「はいダメ!禁止です〜!」






「まずはコレを付けて……ヨシ!完璧!」


クボタ「???……何をされてるんですか?」


ネージャ「鉤括弧の前にお互いの名前を付けたんです、コレがないとどっちが話してるのか分からなくなってしまいますからね」


クボタ「あの、ちょくちょく意味不明な単語が挟まれるのはなぜなん」


ネージャ「取材してるのは私ですよクボタさん?質問はご法度です!」


クボタ「……ハァ」


ネージャ「それでは始めましょう!クボタさん!よろしくお願いします!」


クボタ「よろしくお願いします」


ネージャ「まずはFランク昇格おめでとうございます!という事で今のお気持ちをどうぞ!」


クボタ「ありがとうございます。ええと、まあ勿論嬉しいですね。今はこの昇格、そして優勝を僕に与えてくれた魔物達に感謝したい気持ちでいっぱいです」


ネージャ「ほほう!ありきたりな答えですが『皆さんの応援のお陰で〜』とかプロ気取りな回答をしなかったのは高評価ですね!」


クボタ「えっ!?」


ネージャ「それでは次の質問です!Fランクになると全ての地方の依頼を受けられるようになるのはご存知だと思いますが、クボタさんが今一番行ってみたいのは何地方ですか?」


クボタ「へぇ〜、あ、すみません。知らなかったです」


ネージャ「ふむふむ、無知ここに極まれり、って感じですね〜」


クボタ「えっ!?」


ネージャ「では最後の質問です!Fランクにて『ステータス』に近い設定が登場する予定なのは先程の質問と同じく常識ではありますが、クボタさんはこれについてどうお考えですか?」


クボタ「ステータス!?魔物のですよね?う〜ん、まあある程度数値化されていた方が分かりやすくて……いいと思います。はい」


ネージャ「あ、これも知らなかった感じですか?ふんふん、全然ダメですね!私取材に来た意味あったんでしょうか!あはは!」


クボタ「ええっ!?」


ネージャ「質問は以上となります。ありがとうございました!あとこれは番外編なので本編で刊行された本誌がクボタさんに届くような予定は今の所ありません!なので楽しみに待たなくて大丈夫ですよ、それでは〜!」


クボタ「……何だったんだあの人。腹立つなぁ、てか〝コレ〟勝手に置いてくなよ」


「お、取れた」

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