回想 (詩音視点)
昼、何時もの授業を終えて今は昼休み。この時間は各々持ってきた弁当を仲のいい友達と食べたりする時間。友達はおろか、嫌われている私の周りには誰も居ません。その事を少し悲しくなりながらも、いつもの事だと割り切り、自分の弁当を広げ「詩音ちゃーん!……一緒に食べよー!」……最近聞いた声に無視を決め込みます。反応が無ければ、諦めて彼も帰って「詩音ちゃーん!」……帰ってくれるはず「し・お・ん・ちゃーん!」……帰って
「居るんでしょー!」
「うるさい!………あ」
皆の視線を感じます。数秒の間やらかしてしまったと思った時には、彼は自分の机に弁当を敷いて食べ始めていました。
何か言おうとして……何も言えなくなった私はそのまま腰を下ろします。美味しそうに食べている彼が話しかけてきます。
「美味しい!自分で作った物だから美味しいのは分かるけど、誰かと一緒に食べると更に美味しく食べれるね!」
「………」
友達が居ない私に言わないで欲しい。レンジで溶かした惣菜を食べる。いつもの味で、別に美味しく感じない。
「……………」
「……………」
何も喋らない彼に対して、困ってしまいます。気まずい雰囲気に思わず口を開けて……口の中に卵焼きの味が広がる。いきなりの事に驚く私を見て、彼が言う。
「……何悩んでるか知らないけど、ご飯食べる時ぐらいは美味しく食べてもいいんじゃない?」
「………別に考えていません。」
「アラァ!?」
この後の事は覚えていません。ですが、今でもあの時の卵焼きは美味しかったと思い出せます。私にとって、この時が1番の幸せだったと思います。目の前がゆっくり暗くなるのを感じ、目を閉じれば意識が起きていく。
「…………美味しい。」
「詩音ちゃん、何か言った?」
「…………………何も」
「そっか〜」
・・・・・・・・・
夢から覚めた私は、弥登君に膝枕されている事に慌ててしまったり、その際彼に向かって色んな事を言ってしまい、逆に弥登君を慰める状況になったりと一悶着ありましたが、今は落ち着き今はこれからの仕事に就いて話し合ってました。
「………わかりました、頑張ってみます。」
「うん、頑張ってください、詩音。」
仕事の話はこれで終わりと、1つ息を吐いた弥登君の雰囲気が変わります。
「それでーーその、聞いて良いのか分からないんだけど……」
「……?…何でしょう。」
「じゃあ聞きますけど、いい夢は見れた?」
そう言う弥登君の表情は……何か、複雑そう?上手く分かりませんが……これだけは言えます。
「はい、とてもいい夢でした。」
自信もって弥登君に言えば、満足そうに頷く彼。
「そっか、それは良かったよ。それはそうと、詩音。」
「?」
「大晦日の時、一緒に居ない?」
「…………え?」
これからも、私は彼に振り回される日々が続きそうです。
びっくりするだろう。2話更新だ!( ̄ー+ ̄)
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