遅刻魔

 ―星晶せいしょう高校―1のD




「スミマセン遅刻しました。」


「次から気をつけるように。」


 数学の先生は最早諦めた様子。ため息を付きながらしゃべるところを見ると嫌でもわかる。


 僕は申し訳ないな……と思いながら席に付き、机の上に乗っている書類をファイルの中へと仕舞う。


「おはようさん。病院のベットで寝た感想は」


「寝たくて寝たわけじゃない。とても寝心地が良かったけど自室の方が良かった。」


「寝心地良かったのか。それは自分も試しておかないといけないな。」


「ワザと怪我しなくていい。そのまま健康でいるほうがいいよ。」


 病院のベットで寝たのが羨ましかったのか唯一の親友である朝日達也あさひたつやの視線を無視しながら授業が終わるのを待った。





 ―――――――――――――――――――――――


 ここで余談だがこの僕、弥登は学校で遅刻魔と呼ばれている。


 それもそのはず、この星晶高校はそれなりに平均値が高く努力しないと入れない場所だ。そんな高校に遅刻が多いやつがいると噂になると考えてみよう。そりゃ広がるね。


 そんな恥みたいな自分がいる学校にも完璧な人がいる。それが春川詩音はるかわしおんという少女だ。彼女は普段物静かだが誰にでも優しく、教師からの信頼がある。いわゆる完璧少女だ。何よりも彼女から発せられる可愛らしい声が男子を虜にするのを何度も目撃した。彼女の長い髪の毛が男子の視線を引くのだろう。膝まであるからね。



「何いってんのお前。」


 おっと、心の声が聞こえてたらしい。放課後の中ジト目を向けてくる達也を受け流しながら質問をする。


「達也。そんな僕が美少女がストーカーに困ってることを知ってたらどうする?」

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