「知ってる?異世界って格ゲーないんだぜ(絶望)」ナマクラ剣士のしくじり伝説【奥義コマンド:↓↘→+弱S】
宮間かんの
Round 1:道場ステージ
01 :か弱い男の娘(絶望)
俺、前世はニッポン人、名前はロック!(転生者あいさつ)
―― 異世界転生したら、か弱く
見よ、この男子とは思えない『
さらに、
(※ 注意:異世界転生者のため価値観が平成で止まってます)
(── ちがう、
思わず、奥歯がギリ……ッと鳴る。
窓ガラスに映る『
前世・
現実は、
(ここって人食い魔物がワラワラ、危険がデンジャーな異世界だぞ!
なんでこんな
この世界って『玄関あけたら2分で
そんな難易度ベリーハードで、見た目がどうとか(特に男!)、どうでもいい。
むしろ、魔物の被害がヤベー世界なので、頼りがいのある
(しかも、魔法有りのファンタジー世界で『魔力量すら
―― もうね、アホかと!?)
また、ギリギリ……ッと歯ぎしり。
(昔の格ゲーで言うなら『
いや、あるいはソレ以下か!?)
弱すぎて『
あるいは、『
つまり、異世界転生したら『すぐ死ぬ
(―― うわっ……。
思わず、口元を両手で押さえちゃう。
▲ ▽ ▲ ▽
「── で、ロック。
なんでお
「……ん?」
白髪で長身で細マッチョ体型の、剣の達人ジジイだ。
「
「反省? え、なんで?」
「ハァ……ッ
まったく、お
腕組んだジジイが、しらがマユ毛で
「………………」
いま俺、
理不尽に怒られ、不服な気分でいっぱい。
さっき内心ブツブツ言ってたのは、ただのストレス発散。
つまり、しんどいお仕置き中の、現実逃避だったワケだ。
「ロック、一応、念のために言っておくがな。
『
「……なんの話だよ、ジジイ?」
俺は別に、説明が理解できない、というワケじゃない。
むしろ真逆。
『なんで今さら解りきった事を?』と困惑しているワケだ。
(なにせ俺って、
いえ~い、せっかく異世界転生したのに、才能なしザコ男子のロック君で~す!
異世界のみんなぁ~、後ろから小石投げたり、指さして
「そんな
お主のような『魔剣士ではない者』に
「……まあ。
修行不足を反省して、明日からガンバるんじゃね? きっと」
「ハァ……まったく、お
ジジイ、
―― そして、『石畳の
(多分これは、きっと。
このザコ集団が『サイキョー戦士職の
穏やかに見えて意外と厳格だもんな、ウチの
「ところで、ジジイ。
俺、そろそろ足がシビれちゃったんだけど?」
「ダメじゃ。
しばらく、そうやって反省しておれっ」
「………………」
石畳の上に、正座とか。
児童
ここ近年は体育会系の
(── よかったなジジイ、ここが異世界でっ!!)
そんな
「そもそも、この『道場やぶり』の原因は?
お
「── だってジジイお前、アゼリアのピンチだぞ!」
「ハァ……、やはり
俺は目を
「お主、
「誰がナンパくらいで、『道場やぶり』するかよっ」
―― 【悲報】
▲ ▽ ▲ ▽
「その後色々あったんだって!」
俺は、
「こやつ
だがジジイは、信用ならない、と首をすくめる。
そして、『石畳の
―― ちなみに、道場内でくたばってるゴツい男たちは、ほぼ短髪か坊主頭。
それを見ていると、俺自身の黒髪長髪が気になってくる。
(う~ん、髪を腰まで伸ばしたせいで、いよいよ女に間違われるのかな……?)
この異世界だと『髪を伸ばすと魔力が増える』。
だから、魔導師は長髪が
俺も、1~2割は魔法の発動回数が増えた感じ。
体格も魔力もザコな俺には、貴重な
目の前のジジイも、
ちょっと見た目、仙人みたい。
―― ジジイは、その
「しかし、アゼリアの話からすれば、それが
「ち・が・う・わ・いっ
ジジイ、俺はなぁ ──」
そんな感じで俺とジジイが言い争っていると、急に赤毛少年が割り込んできた。
「── あ、あの……っ」
この赤毛少年は、
俺より1つ年上の16歳で、すでに
この世界というか、この国というか、転生先は高身長ムキムキ男ばっかり。
おかげで、俺がいよいよチビで
「お、俺が! 俺なんかが!
お弟子さんと決闘なんて、そんな大それた事をいいだしたから……っ
申し訳ありませんでしたっ」
赤毛のヤツ、いきなりスライディング土下座だ。
「この責任とって、俺、道場をやめますので!
どうか、お許しを!」
赤毛少年が、涙ながら何度も頭を下げる。
俺は、そのゴツい肩をつかんで、無理矢理に頭を上げさせる。
「お前が、頭下げる必要なんて、ないだろうが!
「そうじゃのぉ。
「ちがうわ!
混ぜっ返すな、ジジイ!
── 問題の、トラブルの原因! 全部あの2人だからなっ!」
俺はジジイに反論しながら、赤毛少年の不良先輩という、アホ2人を指差す。
道場の入口そばで
「では、ロックよ……。
なぜ、その2人を倒した後、おとなしく剣をおさめなんだ?」
「── はあぁ~~! 何いってんだジジイっ!?
男と男の1対1の決闘の結果に、横からイチャモン付けてくる!
チビ・貧弱・落ちこぼれの俺に、多勢に無勢でかかってくる!
そんなヒキョー者だぞ、アイツら!」
「……貧弱……落ちこぼれ……。
ロックお主、自分の事を、そのように思っていたのか……?」
ジジイが、何か遠い目をしてる。
(── ジジイ、すまんな!
せっかく見込んだ一番弟子で養子の俺が、こんな才能なしで!)
俺だって、幼い頃は真剣に魔剣士を目指していた。
本来なら、今頃はジジイの流派の後継者になってるハズだった。
だから、『
── まあ、その辺りは、今は
「きっとコイツら、この次はもっと汚ねえ手を使ってくるだろ!
── うわあぁっ ア、アゼリアが
「
俺がこうも熱心に訴えてるのに、ジジイは反応イマイチ。
「アゼリアは、なぁ!
か弱い女の子なんだぞ!
可憐なお嬢様なんだぞ!
もしも! クズでゲスな悪党に押さえ込まれて『ゲッヘッヘッ』とかなったらどうすんだよ!?」
「押さえ込む……、あの特級のジャジャ馬娘を?
そんなマネができるのは、お主くらいじゃろうが……」
なんかよく解らん反論をしてくる。
まったく、何考えてんだ、このジジイ……っ
妹弟子・アゼリアは、剣の
(── いや、違うよ!?
ウチの妹弟子に、魔剣士の才能がないワケじゃないんだ!)
むしろ、トップクラスの天才だと思うよ!
きっと伝説とかなっちゃう超・天才児!
ただ、あの子は、心の優しさがアダになっちゃうタイプ。
心が天使だから!
きっと、怒り
(……ウチの妹弟子、対人戦とかマジ苦手だからな。
剣の達人なジジイはともかく、『ナマクラ剣士な兄弟子(俺!)』にも勝てないとか……)
お兄ちゃん、色々心配です。
── だからこそ!
── そんな子だからこそ!
── 魔力たりない俺が、カラダを張って血まみれになってでも!
「女の子はぁ! 男が守ってあげんと! いかんでしょう!?」
俺の血を
「…………ハァ……」
だがジジイは、いよいよ白い目を向けてくる。
もうめんどくせえな、という表情だ。
「……あの子とて、人並み以上にしっかり
「ジジイが、そんな放任主義すぎるからだろ!
だから俺がこんなに、妹ちゃんの心配しないといけないんじゃねえか!?
ジジイ、テメー、俺を育成途中で放り出しておいてまでアゼリアを弟子にしたくせに、色々無責任だろが!?」
「………………そうか。
まあ、お
── これリア、こちらに来なさい」
▲ ▽ ▲ ▽
「なんですの、お師匠さま?」
ジジイが呼びかけに、銀髪美少女さんが立ち上がった。
―― あら、どこの高貴なご令嬢様かな?
―― もしや、どこかの国のお姫様かな?
なんて気品あふれる美少女っぷり!
小動物のようにポリポリとクッキーを召し上がっていた
これが俺の妹弟子、アゼリア=ミラー(15歳) ──
── 愛称リアちゃん(今日も可憐カワイイ)な訳だ。
「今の話、聞いておったか?
お主はどう思う?」
「うーん……リアは、そうですわね ──」
銀髪の妹弟子は、碧眼をちょっと細めた。
(うん、うんっ、そうだよねリアちゃん?)
可憐で心優しくも繊細な、花もさかりの15歳。
ゲス野郎に純潔を狙われる(!?)なんて、乙女のピュアなハートが傷ついちゃうよね?
「── リアも!
お兄様といっしょに、『道場
妹弟子の、
「お兄さま直伝の『超必殺アルティメット奥義』で、ズバズバですわ!
ついでに、お師匠さまの『
気持ちよい汗をかくと、夕食のデザートがいっそう美味しいですのよぉっ!
わたくし、3日も修行がお休みで腕がなまりそうですの、試し斬りの相手が欲しいですの!」
銀髪お嬢様のニコニコ笑顔から、クソ物騒なセリフが
「……リアや」
「……リアちゃん」
それを見て、師匠であるジジイの心と、兄弟子である俺の心が一つになった。
まさに
── 『そっちの
俺とジジイが指さしたのは、魔剣士道場の端にある『
「わかりました!
思いっ切りブンブンですの!
── とりゃー!」
妹弟子が木剣を叩きつけるたび、ガン!ゴン!ガン!ゴン!
まるで工事現場みたいな轟音。
だいぶん、体力が有り余っていたみたいだ。
それを見て道場の主 ―― 初老
「―― さ、さすが。
『
「あの、お師匠さま。
俺は、いったいどうしたら……」
赤毛の年上少年は、道場主の
(元々コイツが
赤毛少年の
── まあドンマイ、気にすんなよ!
『
(俺も前世ニッポンのサラリーマン生活で、ガチ土下座な
いわゆる『
―― そんな懐かしい気分のせいか。
俺は、なんとなく過去の記憶にひたり始めた。
//////////!作者注釈!//////////
この作品にはオマージュ要素が含まれています
2023/01/21 タイトルと内容を少し変えました
2024/07/03 解りづらい部分を修正しました
『ブックマーク追加』、評価『★★★』、『ひと言感想:いいね!』など
いただければ更新作業の励みになります。
また「この作品読んだ!」的なXポストでも作品の宣伝になり、喜ばれます(作者に)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます