第2話 旅の予定

 最近見た情報番組で東海道五十三次、東京―京都間を徒歩で行くと言うのを放送していた。

 男もそれをまねして江戸の習わしの生涯一度はお伊勢参りの後の物見遊山で京都に足を運ぶをしてみようかと考え、その情報を集めた。

 東海道で行く東京の日本橋から始まり品川宿をでて京都の東山区から向かう終着地の三条大橋まで487.8km。男の平均は一般人よりも早く時速5kmだった。

 単純計算で一日十時間歩いたとしたのなら10日目には京都につくはずだ。行く先々の宿で温泉や地域の料理を味わうのも最後の旅になるのだからよいだろうとも思ったが心傷しているがゆえに途中で断念、または力尽きて後悔が更に募るかもしれないと後ろ向きな事を考えてしまった。

 故、普通に新幹線で向かうことにしたのだ。

 男は勿論、祇園祭のことも調べた。そして、祭りが7月いっぱい催されて居る事に驚きをしめす。祭りの最も華やかな時期に山鉾巡行のある前祭、後祭があり、屋台などの出店があるのは前祭に入る数日前というのが分かった。

 出店は15、16日、前祭が17日、後祭が24日。15日に京都入りしてその日は適当に市内観光、翌日夜に出店を楽しんで17日に山鉾巡行の出を堪能し、残り数日をまた市内巡りをすれば、後祭を見ずともう心残りもなく十分であろうと男は考えた。


 男は携帯情報端末を取り出し、鉄道切符や宿の予約をそれで行った。今時では賃貸の契約解除もNet上で行えるのは当たり前で出立後は戻ってくることはないが今月いっぱいで解約になるように手続きを行う。

 生活感のない男故、家財道具は殆どないが引き取り専門業者に連絡を入れて旅立つ3日前には全部処分してくれるようお願いした。


 そして、残り3日前、布団すらない、床で男は就寝し、旅立ちの日を待った。

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