第5話 ケンカの仲裁

 オレの名前は『みたらし』。

 二歳の柴犬だ。


 パパさんとママさんが、リビングでテーブルを挟んで言い争っている。

 議題は、思ったほど再生回数が伸びていないことについて。

 昨日公開した動画の再生回数、十二回だって。


 というかさ、なんでオレを撮影するだけでバズると思ったんだろ。

 仕事やめるか? 普通。

 ま、ご褒美さえ貰えれば、オレはいいんだけどね。


 ……ケンカ、長引いてるな。

 仕方ない。


 オレは、テーブルの上にヒョイっと乗ると、そのまま寝そべった。

 大丈夫、テーブルの上に何も置いていないのは確認済みだ。


 腹を上に向ける。

 さぁ、存分に撫でるがいい。

 途端に、さっきまでの険悪な雰囲気はどこへやら、パパさんとママさんが笑いながらオレの腹を撫で始めた。


 やれやれ、和解できて良かった。

 後からパパさんの愚痴を聞いたが、どうやらパパさんのお小遣いが減らされたらしい。


 どんまい、パパさん。

 そして今日も日が暮れる。

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