5月31日 お題:悪堕ち・『白衣』
私は今、薄暗い部屋の中で、手術台のような物の上に寝かされ、拘束されている。
そしてその様子を、血に塗れた白衣を身につけた、いつもとは雰囲気がまるで違う、私の親友が見下ろしていた。
――どうしてこうなったのか…… 話は少し前へと遡る。
最近少し様子がおかしく、学校が終わるといそいそとどこかへ行ってしまう、何かを隠しているらしい親友を心配して、私は数人の友人たちと放課後に彼女の跡をつけることにした。
やがて彼女は人気のない廃工場へと入っていき、そして姿を消した。
どこを探しても彼女の姿はなく、今日は諦めようかとみんなで話をしていた時……
私たちは"何か"に襲われ、意識を失った。
そして、次に気が付いた時、私はここに寝かされていた。
何かの薬品を使われたのか、全身に力が入らず、言葉を発することすらもまるでできない。
それからは、碌に身動きも取れないまま、どこからともなく響いてくる友人たちの――まるで断末魔のような――悲鳴を聞きながら、自分の番はいつ来るのだろうと恐怖に慄いていた。
そんな時、彼女はやってきた。
いつもとは違う冷たい雰囲気を携えながらも、その瞳には憐れみと悲しみの色が滲んでいる。
「……適性検査を……始める」
感情を押し殺した声で彼女が呟くと、部屋に取り付けられた機械が動いて私の血を採り、そして全身にレーザーのようなものが照射され、何かを調べているようだった。
それから、彼女は手にしたタブレットを動かし始め…… そして、次第にその表情を明るくしていった。
「ああ……良かった…… これで、貴女だけは、助けられる……」
説明を求めようとしても、私には呻くことしかできない。
「ごめんね……全部終わったら、ちゃんと説明するから」
彼女がタブレットを動かすと、私の口元に酸素マスクのようなものが取り付けられた。
「――これより、改造手術を始める」
彼女の言葉に従って、マスクを通して何かの気体が送り込まれ、それを吸い込んだ私の意識は急速にブラックアウトしていく。
「これからは、ずっと一緒だよ……」
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