第3話 ある名器の証言

今日は休みですか?

A:いえ、少し顔を見ようと思って。

あぁ、ありがとうございます。お茶でもどうですか。

A:いただきます。

そういえば、先週のは、どうでした。

A:それが、合わなくてやめちゃいました。すみません。

そうですか、また次がありますよ。

A:そうですね。それじゃもう行きます。ごちそう様。


被告人Aは、無罪を主張している。

「よくわかりません。私がなぜこのように世間から

バッシングを受けているのか。確かに私は魔女で、誘惑もしますが..

でも、なんというか、そういうのも必要なのかなと、人生には。

みなさんの言い分も十分わかります。確かに私は性の対象です。

でも彼らは私にとって、大事なものであったし、大切にしたと

思うのです。妊娠も出産も経験しています。流産も経験しています。

そのたびに私の器に傷が入ってしまうので。もういいかなと思ったから

それを捨てたのです。」

裁判官は難しい顔をし、息を吐いて

判決を言う。「被告人は懲役2年」Aはがっかりしたようだった。


調子はどう?

A:まぁ、元気。

そうか、後1年もすれば出てこられるよ。昔は終身刑だったって祖母が言ってたよ。

A:そっか、少しは進んだみたいね。

きっとこれから、進んでいくよ。Aの事件が話題になって捨てる人が増えたらしい。

A:そう、もう疲れたから行くわ。

  差し入れに合うのを持ってきてくれたらうれしいわ。

わかった。名器の調子はどう?

A:すこぶる調子がいいわ。


しかし、Aは出てきたとき殺された。事件とは全く関係のない彼らに。

どちらが悪いのかはこの際どうでもよくなって、皆と一緒に墓参りに行こうと思う。

帰りに、ホロの首を持ってきたら、喜んでくれるかな。

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床、花、Cunt Kqli @Kqli

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