種族を変えられる能力を使い自由に生きる。
モンド
第1話 獣医を目指してる男が異世界に転生した
ストーリー
異世界に召喚された男が女神の手によって一つの能力を貰い王国の「純粋種至上主義」を阻止する命を受ける。
亜人と呼ばれ蔑まれる種族の能力を使い、「亜人狩り」を行う王国軍と一神教主義の正教騎士との激闘を繰り返す男を人は「カムイ」と呼び恐れた。
男はその世界の全てを掴む能力を手に入れながら、差別の裏にある誰かの影を感じながら小さな村を作り始めた。
その村はこの世界には小さくはない波紋を広げ始める。
ーー プロローグ
大学・大学院と獣医学科・動物行動学を専攻し動物園に就職した俺は
「平成のムツゴロウ」と
友人知人に揶揄されていた。
就職した動物園は北海道にあった。休みになると山に森に動物を探して歩いた。そして奴にあった。
ヒグマは日本において最強の動物である。
その生態を研究せずしてヒグマの被害を抑えることは無理である。
俺の趣味は動物と人間の共存共栄だ。
しかし言葉や意思の疎通が出来ない以上その理想の実現は不可能であると、今ひしひしと感じている。
何故なら、目の前にはヒグマが二本足で立ち上がり大きく振りかぶった右前脚を俺の頭に振り下ろす姿がスローモーションのように映し出されていたからだ。
意識がゆっくりと覚醒してきた。
『俺はどうしているんだ?』・・・『あっ、熊に襲われて・・・死ななかった。?』
手で体を確認しようとするがそれが出来ない!手どころか体を確認することができない!
そんな恐怖と不安のを感じていたときその声が聞こえてきた。
「慌てる必要はありません。あなたは死んでいます。これからのことを話しましょう。」
とその声はどこからともなく聞こえてきた。
『ん、女性?』と思っていると
「私は、とある世界の女神をしているフローレアイです。あなたにお願いがあってこの狭間の世界でまっていました。」
「俺は死んだのですか?」
と自分の状態を確認すると
「そうです。ヒグマに襲われ一撃で死にました。」
と答える声に。『やっぱり』と実感するものがあった。
しかしここは聞いたこともない世界のようだ。
お願いとか言っていたのでひょっとして生き返してもらえるのかな。それとも何処かの世界に転生?などと取り留めのないことを考えていると。
女神と言う存在が業を煮やして
「・・・もういいですか?私の話を聞いてもらって。あなたが考えている通り私の管理する世界に転生してもらいたいのですが。その世界は今、「純粋種至上主義」という考えが蔓延り「亜人」と呼び蔑まれる人々が理由もなく迫害を受けています。」
「私は私の愛する子供らが醜い争いをして世界を歪めることを見過ごすことができません。貴方にその歪みを正し共存共栄の手助けをお願いしたいのです。」
というお願いを語り出した。
俺としては、特に問題を感じるどころか『亜人』と言うフレーズにすごい興味を抱き二つ返事で了承すると。
「貴方に私の力の一端を授けます。その力は今まで貴方がしてきたことに繋がります。その力を使い1人でも多くの私の子供らを救ってください。」
と言う声が聞こえるとともに目の前が反転した。
ーー 転生!ここどこ?どうすれば良いの?
頬を心地よい風が撫でるように通り過ぎ、耳のそばで下草が揺れる音を聞きながら芝生のような柔らかい感触を肌に感じて寝返りをしようとしたとき。「フーッ。」と言う呼吸音と獣臭い匂いが耳と鼻を通して脳に危険を知らせてきた。
俺は直ぐに、うつ伏せ体勢になり目を見開き周りの気配を確認する。
30mほど先の草むらが微かに揺れそれが姿を現した。
犬の顔をした二本足で歩く異形な生き物。
腰布のようなものを一枚身につけ棍棒を手に鼻を鳴らして獲物を探している。
目は燃えるように赤く口は牙が生えそろい唾液が流れ落ちている。
これ『亜人』・・・じゃないよな。
!片方の手に紐が握られている。その先に紐で手を縛られ泣き腫らしたような顔で引っ張られる子供を見たときに、心臓が鷲掴みにされた。
その子は頭の上に耳がついてお尻から立派な尻尾が生えていたが、今は力なく垂れていた。
『あれが亜人と呼ばれるものに違いない。すると犬人間が・・・この世界の魔物?で良いのか。』
何も分からない状態ではあったが、子供を助けることだけは間違っていないと感じていたし・・・それで手段は?
自分の手を見ながら考えていると突然目の前に俗にいうところのステータス画面が現れた
※※※※ 10歳 男 人族(現在) レベル1
PH 300 MP 500 力 100 速さ 100 賢さ 500
スキル
成長促進 超回復 状態異常無効 肉体改編(全種) 鑑定全
索敵(1)new 隠行(1)new
称号 女神フローレアイの使徒
これが今の自分。名前がない。10歳!それはないだろうと思いながら自分のステータスを見ながら2人に鑑定を使ってみる。
コボルト(魔物) 5年 雄 レベル15
PH 150 MP 0 力 50 速さ 100 賢さ 10
スキル
口撃5 俊速3 打撃2
アリエル 10歳 女 猫人族 れべる10
PH 10/50 MP10/10 力 10 速さ50 賢さ 50
スキル
俊速2 隠行1 周囲感知1
予想通りの結果だが意外と自分のステータスが高い。
先回りをして木の上で待ち伏せすると木下を通りかかったコボルトの頭にひと抱えもある石を叩きつけた。
コボルトは頭を潰され痙攣すると立木が倒れるように倒れた。
『レベルが上がりました。』
何かのメッセージが脳内に流れる。
コボルトの脇で目を見開く少女。
驚き→解放感→認識→恐怖
その目と尻尾が心の有り様を克明に語っていたが、声をかけることにした。
「僕の言葉わかります?怯える必要はありません。貴方を助けたのです。紐を切ってあげるので抵抗しないでくださいね。」
と、目を見ながらいうと。納得したのかコクリとうなずく。
紐を切り体を確認するが大した怪我はない様だったので、近くの小川に連れて行き汚れを洗い落とさせる。
汚れを洗い落とすと慎重な歩みで戻ってきた少女は、シルバーがかった髪と簡易な作りの貫頭衣のような服を着た少女で。
「助けてくれてありがとう。このあと私をどうするの?」
と不安そうに尋ねる少女に僕は、
「何も。ただ僕は道に迷ったというかここがどこなのかさえわからないんだ。よければ人の住んでいる街かその方向を教えてくれると嬉しいんだが。」
と言うと。ホッとしたような顔になった少女が
「取り敢えず私の村にいきましょう。お礼もしたいし。」
と言うのでコボルトに捕まった事情を尋ねると。母親の病気の薬を作るために薬草を採取に来ていたときに捕まったと言う。そこで帰りながら薬草を探すことを提案し探しながら村を目指した。
薬草はすぐに見つかった。この辺りはかなり森の深い場所のようで人の手が入っていなかったが、それだけ魔物も多くいるそうだ。
先ほどのコボルトやゴブリン、オーク、オーガにウルフ系の魔物や角を持つウサギや手が四本のクマ、毒大蛇や毒ガエルにスライムなど多くの魔物がこの森にいるそうだ。
さらに歩くと少女が落とした荷物が見つかった。麻袋のような肩掛けの袋にナイフ、薬草を入れる竹カゴのようなカゴと摘んでいた薬草。
そして森から30分ほどで村に着くと、
「改めてありがとう。私はアリエル貴方は?」
と少女が僕の名前を聞いたきた。名前ね、
「僕はカムイこの姿で君の村に行くのは問題はない?」
と尋ねると暫く考えていた少女が
「あまり歓迎はされないかもしれないけど、恩人だから私が守ってあげるわ。」
と言うので、僕はそこで「少し待っていて」と言いつつスキルを使うことにした
『肉体改変』と心で念じると
『種族と年齢を指定してください。』
とメッセージが流れ目の前に種族の種類と年齢の枠が出現する、但し現在指定できる種族は猫人族のみのようだ、見たことがありまたは触れたことがある種族のみかも知れない。
『猫人族10歳』と念じると体が光に覆われMPが100使われて体が変化した。
「え!猫人族?どうして?貴方は・・」
と言葉に詰まる少女に
「これはね女神がくれた僕のスキル。気にしなくて良いから。」
と言うと納得しかねる顔をしながらも歩き始める。
僕のステータス
カムイ 10歳 男 猫人族(人族) レベル1(2)
HP 400 MP 600/700 力200 速さ200 賢さ700
には変わっていた、さっきレベルが上がって全体的にステータスが向上し、そのまま種族が変わっても適用されているみたいだ。これならどんどん強くなれそうな気がするね。
村に着くと入り口あたりでウロウロしていた猫人族の男が慌てて駆け寄ると少女に
「アリエル、心配していたよ。どこに行っていたんだ。」
と心配と安堵が口調を強くしていた。
「ゴメンなさいパパ。魔物に捕まったのを彼に助けられて。」
と答える少女の言葉に、慌てて身体中を確認する父親が、しばらくして僕をみると
「娘の危ないところを助けてくれてありがとう。見かけない顔だが他の村の子かい?」
と尋ねる少女の父親に
「いいえ、遠くの国から流れてきたものです。森で道に迷っていたところを村に誘ってもらってついてきただけです。村に入っても良いですか?」
と尋ねる僕に、「もちろんさあ家に来てくれ」と村に入れてもらった。
ーー 猫人族アリエル
私は深淵の森の南の村に住む猫人族のアリエル 10歳。
ママが病気で床に着いて7日。日に日に衰弱するママを見て薬草を探しに森の深いところまで来ていた。
この森は魔物が多く子供が奥に入ることはキツく戒められていたが、このままではママが死んでしまうと言う思いでパパに黙って森に入ってきた。
目的の薬草を見つけられず奥へ奥へと入るうちにあいつと出会った。
コボルトだ。
私達猫人族はウルフとコボルトには相性が悪い。
私もアイツに気付いて逃げるもあっという間に捕まり、紐で縛られ巣に引きずられるように連れられていた。
その途中で突然空から人が降ってきてコボルトが倒された。
何が何かわからない私は、空から降ってきた人を見た。
それは人族の少年だった。人族の少年が1人でこんなところにいるはずもなく、コボルトから人に私の所有権が替わっただけだと理解した。
私は逃げる元気もなくなった。
人族は私たちのような者を『亜人』と呼び捕まえると奴隷にしていると聞いている。
その人族の子供は私に近づき
「僕の言葉わかります?怯える必要はありません。貴方を助けたのです。紐を切ってあげるので抵抗しないでくださいね。」
と言ってきた。
信じられなかったけれど紐を外すと近くの小川に私を連れて行き、汚れを落とすように言う。
汚れを洗い落としながら周りを窺うがこの子の親や連れがいるような気配はなくそのまま薬草を採取しながら村に向かうことになった。
彼が言うに「ここがどこかもわからないから人の住むところまで案内してほしい。」と言うが命を助けられて「あそこですよ」と言うわけにはいかない。
村まで案内すると言って村の手前まで来ると突然彼は、姿を猫人族の男の子に変化させた!彼が言うに女神にもらったスキルだと。
私は村に伝わる伝承を思い出した
『種族間で争いが起こり世が乱れると女神は使徒を遣わし平和をもたらす。』
というもの。今まで人族に多くの同胞が捕まってきたが誰も助けてはくれなかった。だからそんな伝承は信じていなかった。でも彼からは何か特別な感じがする。
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