第135話 2023春クールアニメの感想(5)

●【ヴィンランド・サガ2】


 十七話を視聴。


 冒頭のトルフィンと蛇の戦いの作画が良かった。

 手描きならではの。メリハリのあるスピード感に満ちた格闘!

 武具を着けていないからこその躍動感です!


 しかし、その後が涙腺決壊。

 瀕死の元夫のガルザルと共に、逃亡する決意を決めたアルネイズさん。

 牧場の大旦那様のスヴェルケルは二人に馬車を貸し与え、トルフィンは見送る。


 馬車で去る夫妻の描写が素晴らしかった。


 見渡す限りの小麦畑の中の一本道を行く馬車。

 夕映えの下、車輪に揺られる夫妻は『永遠』へと向かう。


 出血で朦朧とするガルザルに去来する想い。

 村で幸福に暮らしていた頃。

 息子が生まれ、しかし村のためにと鉄を欲し、妻子を残して発つ。


 戦いを終え、返って来ると、息子は六歳になっていた。

 出迎える息子は、満面の笑みで……。



 いや、本当にアニメでここまで丁寧に描いてくれるとは。

 寄り沿うピアノの音が、静かに豊かにアルネイズさんの心を語る。


 そこには『祈り』のみが在る。

 

 

●【蒼穹のファフナー EXODUS (再)】


 17話を視聴。

 

 無数の未来から竜宮島を生き残らせる――

 それを選択するために、ひとりファフナーに乗って戦い続けたカノン。

 ファフナーに搭乗すると未来に意識が飛び、そこで敵を倒す度に『結び目』が解けていく。

 戦いでカノンは命を削られていき、ついに体重が三百グラムに。


 最期を悟ったカノンは新型ファフナーの設計図を残し、喫茶店に行く。

 祭りの花火が打ち上がり、それを眺めるカノンの前に、一騎が現れる。


 以前――未来との戦いの中で、ひとりで戦っていたカノンの前に一騎のファフナーが現れて言った。

「島には、俺たちしかいない」と。


 

 目の前に現れた一騎は手を差し伸べるが、カノンは拒否する。

 手を取れば、一騎と二人で生きていける。

 その世界に跳べる。

 けれど、それは島民たちが滅する未来に他ならない。

 養母も、愛犬も、仲間たちも。


 やがて一騎の姿は消え――カノンも静かに消えていく。

 島民が生き残る未来を残して。


 それを察した愛犬の遠吠えが夜空に響く。


 切ないです……。

 

 

●【天国大魔境】


 五話を視聴。

 

 前回の感想で「何かが足りない」と書いたけど、感情移入できるキャラがいないことに気付いた。

 

 少なくとも、私は誰にも感情移入できない。

 絵がサッパリしているせいなのか?

 

 大災害後の日本を旅する二人組と、壁で囲まれた学園の生徒たち。

 双方が交互に描かれているけど、これが成功しているとは言い難い気がする。

 

 学園側が作っている?『人外の赤ちゃん』とか謎が多いのに、残念だ。

 原作を途中までしか読んでないのですが、この赤ちゃんが街を闊歩する『人喰い』ですか?



●【水星の魔女】


 十六話を視聴。


 ミオリネは、ようやくスレッタとスレッママの歪んだ関係に気付く。

 スレッタは、『エアリアル』のための自我の無いパーツなのだろうか?


 『少女革命ウテナ』は、『花婿の少女』が『花嫁の少女』を外に連れ出そうとする構図だったと記憶している。

 相似が指摘されるこの作品は、前者と逆の構図だろうか。

 

 『ウテナ』のラストは、自らの意思で学園を出た『花嫁』が、『花婿』を探しに旅立った。


 兄に支配されていた『花嫁』は、棺の蓋を開けてくれた『花婿』に促され、『人』としての自我を持った。

 ミオリネが『蓋』を開けることが出来るのか、それを見守りたい。

 

 そして、学園を隠れ蓑に暗躍する大人や。シャディクの動向からも目が離せない。

 再開したグエルと異母弟のラウダの描写も良かった。

 ラウダも、本当はグエルを慕ってたんだな。

 内容がハードなだけに、こういう場面は嬉しい。


 『株式会社ガンダム』の生徒たちも頑張れ!

 

 

 ……今回は、ここで締めます。

 次回に続きます!

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