第25話 深夜の病院と臨死体験
齢を経ると、親類の臨終に立ち会うこともあります。
悲しいことてすが、それは避けられないこと。
数年前、末期癌で入院している叔父の臨終に立ち会いました。
最期の二日間は、母と共に病院に泊まり込み、お昼に交代で帰宅してシャワーを浴びていました。
入院先は、大きな総合病院です。
家族は病床横にマットレスを敷いて泊まることが出来ましたが、叔母と従姉妹、母が横になると床はいっぱい。
私は、無人の薄暗い待合室のソファーに横になりました。
そこは大きな待合室で、看護師さんも通りません。
ひんやりとしていましたが、寒くはありません。
幽霊が出そうだな、と思いつつも廊下を見ると、ほぼ真っ暗。
病院には無料Wi-Fiがありましたが、ゲームをする気は起きず、黙って寝ました。
幸い、不思議現象は起きませんでした。
うつらうつらですが、よく寝れたもんです。
後日、母に何も起きなかった旨を話すと――昔、祖母が入院していた時の病院で、幽霊を見た話をしてくれました。
やはり深夜に病院に泊まり込み、床に布団を敷いて寝ていた時のこと。
深夜にふと目を覚ますと――ベッドを仕切るカーテンの下から男の子が顔を出して、母を睨んでいたそうです。
深夜には有り得ないシチュエーションで、仕切りの向こうのベッドの主は入院歴の長い女性。
小さな男の子が、お見舞いに来たこともありません。
それは二夜続き、母はそちらを向かないようにして寝たとか。
しかも祖母は昼間に、「白い馬が迎えに来る」と何度も叫んでいました。
ただの夢か幻覚か、実際に視えたのか――
祖母が亡くなったのは、それから一週間も経たないうちです。
この祖母の兄が霊能者だったので、妹の祖母にも少しは霊感があったのかも知れません。
臨死体験で『花畑の中』とか『川を見た』話は聞きますが、『白馬』は珍しい気がします。
母の同僚だった男性が心筋梗塞で倒れた時のひとですが、その方は幽体離脱をして天井から病床の自分を見降ろしていたそうです。
霊感など無い方でしたが、どうにか一命を取り留め、職場復帰した時にみんなにその話をしてくれたとのこと。
半信半疑の同僚もいたそうですが、やはり不思議な話です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます