第4話 「スマホに代えただけなのに」とモジリアーニ?

 「スマホを落としただけなのに」という映画がありました。スマホを落としたばかりに、猟奇的な犯人にそれはそれは恐ろしい目にあわされてしまうというものでした。それとは反対に私はスマホに代えたことによって、それはそれは大きな喜びを得ることができました。


 すでに何度もスマホを薦められてきた私でしたが、壊れるまでは使いたいしガラケーで十分に要が足りていますから、何も代える必要など全くありません。第一、PCと同じように色々な情報が満載の大切なものを、もし失くしてしまったりしたらと考えただけでも恐くなってしまいます。 だから映画を見た時も、「ほおら言わんこっちゃない」と自分の信念の正しさを、強く確信致しました。


 しかしこのガラケー愛にも終わりの時がきました。全てを娘にお任せの私ですから、ジタバタしても仕方ありません。明日から使えませんよとならないようにと、あと数か月を残して強制的にスマホにチェンジとなりました。


 まず最初に100均でストラップを買いました。何しろ心配性で怖がりときてますから、落としては大変ですし,恐い思いは絶対にゴメンです。なので外出時はしっかとバックにくくりつけ・・ 映画からの教訓は忘れません。カバーを買ってキティちゃんのシールも貼ってかわいらしく。


 さあこれから何年私の相棒となるのでしょう。嬉しがり屋の私を見て、随分前に買ってもらった高価なアイホンをちらつかせながら、孫は私のスマホをオンボロイドとけなします。初心者ですから廉価なのでいい私です。


 どちらがどういいのか解らない私には柳に風と受け流し、ガラケーになかったスクロールとやらをやってみますと、ほうほう、これだこれだ! スマホは決して羨ましくはなかったけれど、アルバムを次々めくっていくのにはちょっと憧れてはいた私です。

 

 手裏剣をビュンビュン飛ばすような格好で遊んでいると、おや、隣の部屋で夫も同じようにビュンビュンやっているではありませんか。その手裏剣の的は何かと見てみると、ニュースや芸能ネタをまるで週刊誌のように色々見られるからと楽しそうです。夫もまだまだ変える必要なしと言っていた人なのにと思うとおかしくてたまりません。


 でもスマホに代えて得た喜びはこの手裏剣もどきの遊びではありません。 手軽に何処でもすぐに知りたいことをググルことができるのはPCでも同じだけれど手軽さは段違いです。 こんなこと載っているだろうかと見れば、結構つまらないような質問にも答えが返って来ます。電子辞書で調べたってこんなことは出ていません。


 更に良いことには一つの質問から派生して、関連事項が簡単に次から次へととんでいく。いやぁ便利便利。何だか知識が増えて溢れていくようでどうしよう。(そこは心配無用なり、すぐ忘れるのだから)


 いつぞやすぐに知りたいことがありました。我らがヒーロー大谷さんの投球の時のこと。あれ、なんか指なめちゃってるけどいいの?コロナの心配は?と、一ファンのローバは気になりました。ならばスマホに聞いてみよう。


 でもそんな質問はどうでしょうねぇ。すると いやぁ、応えてくれましたよ。これぞスマホに貰った喜びの一つとなりました。 これが例えの一つで、後はこんな質問でもいいの?と思えるようなものまで沢山して答えてもらいました。


 病院への行き帰りのバスの中や待ち時間に、動画を見たり時刻表をみたりするのも便利です。次第に慣れてくると無料で聞ける朗読があることもわかりました。名作日本文学やら芥川賞作品など選り取り見取り聴き放題です。朝昼夕の情報番組で暇つぶししていたところに、朗読が入り込み毎日文学散歩三昧です。


 メールにも違いがありました。LINEでは一つの画面でやりとりして、まるで実際にお喋りしているような便利さです。無料のスタンプで息子に送れば「スタンプ使いこなせているね」と返信がき、「これ、タダでっせ」とすぐ送り返して、そして調子にのってみんなにも送ります。


 そして又、娘にサブスクなるものも薦められ、ジャズやタンゴやシャンソンやらと、これも聞き放題です。引っ越しで泣く泣く廃棄した100本のクラシックのカセットテープも、このサブスクがあれば未練は解消。しかも料金は娘と折半ですからラッキーなり。

 睡眠導入の朗読に誘われ夢の国へ、そして寝起きには大好きな歌手の軽快なミュージックで一日が始まります。なんとリーズナブルな幸せではありませんか。



 更に使い慣れていくうちに、「Hey Siri」の質問が出来るのかやってみたくなりました。そしたら~? ありました。アイホンではないので「Hey Siri」ではなくマイクの印に向かって質問します。曲を認識しますからとのことで、「この曲は何ですか」と歌ってみると「おpk?fkpkq??」  あれぇ おかしいな onece again !すると何人かの名前と曲名が・・違う違う。


 姿勢を正し咳払いをしてもう一度歌うと、「米津玄師 レモン」と出たよ。大当たり~! そこで今度は調子にのって「きみこさんは美人ですか?」と訪ねると、又また「qkd?@@s;q」 再試行して「美人でしょうか?」  すると 「ちょっと何言ってるかわからない・・」と芸人富沢氏のネタが・・そりゃないか・・へへへ


 孫のスマホならきっと「ブスです!」の即答が返って来ることでしょう。そうかそこがアイホンとオンボロイドの違いなんだよ!ってことなのかも知れません。ふふふ 


 毎日こんなことで遊んで喜んでいる私。

今日も「ローバの充日」なり、でありました。 


 ***因みにオンボロイドとは孫が私をかまって命名したもので、私以外の人はそれはそんな呼ばれ方は致しません。立派な〇〇〇ロイドでありますから、念のため。***

 


 

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