転生したら嫌われデブに!? ~性格の悪いブタ男になってしまったので、態度を改め真面目に生きようと思います~

米津

第1章 異世界転生編

第1話 中古のゲーム

「そうだ、ゲームをやろう」


「そうだ、京都にいこう」みたいなノリで、久しぶりのゲームをやろうと思った。


 特に理由はない。


 たまたま寄った中古ゲームストアに、興味をそそられる作品があったのだ。


 ほんと、それだけの理由。


 パッケージを見ると、


『剣と魔法の世界で自分だけのオリジナルなキャラクターを育てあげよう!』


 と、ありふれたコンセプトが書かれていた。


 学園モノの育成ゲームらしい。


 目新しい要素はないが、なぜかこのゲームから目を離せなかった。


 気がついたら購入していた。


 ソフトが古く、さらには中古のため、値段は税抜100円。


 最近は無課金でもオンラインやスマホゲームで十分遊べる時代だ。


 手軽にゲームをしたかったらネットゲームでも良いんだけど、昔ながらのゲームをしたくなっていた。


「どうせ暇つぶしだしな」


 長期連休の初日。


 友達と遊ぶ予定がなく、暇をしていた。


 面白くなかったらすぐにやめれば良い。


 そう考えながら、昔買った古いゲーム機を押し入れから取り出す。


 そして、ガチャガチャと電源ケーブルやなんやらをつけていく。


 準備が整った。


「さっそくやってみるか」


 ソフトをゲーム機に入れ、ゲームを開始した。


 まず最初にキャラクターの選択画面が出てきた。


 キャラクターは4人いた。


「なんだ、これ。無駄にキャラデザ凝ってるな」


 古いゲームだからって馬鹿にしてた。


 おそらく当時の最先端技術なんだろうな。


 1人目。


 金髪碧眼の甘い雰囲気を放つイケメン。


 王国の王子の設定らしく、文武両道でカリスマ性のあるキャラだ。


 ゲーム開始前から完成しており、育成のしがいがなさそうだ。


 2人目。


 緑髪の知的そうなイケメン。


 天才児、神童と呼ばれるキャラだ。


 ショタ好きには受けそうな顔をしている。


 もちろん、俺はショタに興味はない。


 3人目。


 赤髪のやんちゃそうなイケメン。


 喧嘩慣れしており、戦闘力がダントツに高いキャラだ。


 学園の育成ゲームに戦闘力って関係あるのか?


 4人目。


 茶髪のデブ。


 落ちこぼれであり、嫌われ者のキャラだ。


「んんん? いや、ちょっと待て。どう見たってこいつだけ外れじゃねーか」


 一人だけ場違いなキャラが混じっている。


 名前はアラン・フォード。


「こんなの選択するやつはいないだろ……」


 逆に育成のしがいがあるキャラかもしれない。


 だが、さすがにここまでのハズレキャラを選択する勇気はない。


 二周目、三周目ならひょっとすると選ぶかもしれないが。


 俺はアラン以外のキャラを選択しようとした。


 しかし、


「おいちょっと待て。画面がフリーズしたぞ」


 アランを映している画面から動こない。


「うわっ、まじか。ソフトが壊れてんのか」


 まあ、仕方ない。


 中古ゲームだからな。


 100円の損失なんて大したことじゃないし。


 なんてことを思ったら、突然画面が変化した。


『このキャラで物語を始めますか? YES/NO』


 という文字が表れた。


「は? どういうこと?」


 ゲームのバグなのか?


「まあいいや」


 俺はポチッと『YES』を押した。


 すると、


『本当に良いですか? YES/NO』


 と確認画面が表れた。


「やけに、念押ししてくるよな」


 もう一度『YES』を押す。


 次の瞬間、画面が真っ黒に染まった。


 そして、


『ようこそ、私達の世界へ』


 白い文字が画面いっぱいに表示された。


 それと同時に、俺の視界が暗転した。

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