夢食うバクは悪夢と躍る

じぇいそんむらた

プロローグ

人間の王子様は、呪いでバクに変えられ、人間の夢を食べて生きていかなければならない体になってしまいました。


悪い夢を食べると黒くなっていき、幸せな夢を食べると白くなる、不思議な体を持ったバクです。


呪いをかけた魔女は、バクに言います。


「悪い夢と幸せな夢は、バランスよく食べなさい。どちらかを食べすぎると、消えてしまうよ」


バクは、夜ごと色々な人間の夢に入り込んでは、夢を食べ続ける毎日。


ある日バクは、小さい女の子の夢を食べました。それは、今まで食べたことのない、真っ黒い悪い夢。とてもとてもまずかったけれど、バクは、そんな夢を毎晩見てしまう女の子のことがとても心配になりました。

悪い夢を見て、目を覚ますたび苦しそうだった女の子は、バクが夢を食べた日だけは幸せそうな顔で目を覚ましました。


バクは毎日、女の子の悪い夢を食べ続けました。女の子が笑う顔が見たかったからです。

でも、あまりにも悪い夢ばかり食べていたバクは、体が真っ黒になって、少しずつ動けなくなっていきました。


それでもバクは、食べるのをやめませんでした。


そして、バクは動けなくなって、消えてしまいました。


それから女の子は、悪い夢を見る事はなくなりましたとさ。

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