お前の恋バナ聞き出したい
和泉の骨折がだいたい治った。よし、今こそ婚活をせっつこう。
でも和泉が心底惚れる女が相手じゃないとうまく行かないだろうな、となんとなく思うんだよな。咲さんとは、うまく行かなかったし。
和泉の女の好みは知ってるけど、今までそれだけじゃうまく行かなかったしなあ。うーん、あいつ、彼女はいなかったみたいだけど好きになった女くらいはいるだろうから、その辺聞き出したら、なんかヒントにならないかなあ?
そう言うわけで、和泉が夜ソファーでのんびりしてるとき聞いてみた。
『お前さ、これまで好きになった女とかいなかったのか?』
「へ?」
和泉は目をぱちくりした。
「何、藪から棒に」
『お前が惚れるような女がどんな人か知りたい』
「……えーと、それは俺を結婚させるために?」
『参考にするつもりだ。お前、定職についたし体も治ったし、今が婚活にいい時だろうが』
「それはその……ええと、そうだな。高校の頃に好きになった人の話をするから、今日はそれで勘弁してもらえませんか」
和泉は困った顔をしつつも、高校の時の初恋を話してくれた。
高1の時、クラスの中心的存在だったギャル2人の片割れを好きだったこと。その子がいると空気が明るくて、よく見るととても気遣いができるタイプで、そんなところが好きだったこと。その子が困っているのを助けるために、文化祭の男女逆転メイドカフェに協力すると申し出たこと。で、文化祭でギャル2人にすごく協力したら、好きじゃない方のギャルに告白されてしまって、断ったらそのギャルを好きだった男子に殴られて鼻血出したこと。
『お前、不憫だな……何も悪い事してないのに……』
「まあ、殴ってきた男子にとっては俺が振ったのが悪いことだったんだろうね。そんなことする間に相手に告白しろと思うけど」
和泉は苦笑いした。
『うーん、まあ、とりあえずお前は、気遣いできて明るい女に惚れたことがあるのか』
「一言で言えば、そう」
うーん。こいつの女の好みが、楽しくて安心できて明るくて元気な人っていうのは知ってたけど、そこに気遣いも入るのか……いやでも、ある程度気遣いできる人じゃなきゃ一緒にいて安心できないだろうし、これまで聞いてたのと合ってるのかなあ。
うーん、じゃあ、こいつを、そういう女となんとかして引き合わせないといけないのか……少なくとも、明るくて気遣いのできる女……。
そんなの、どこにいるんだろ。こいつが近々仕事で会う嬉野さんとか、そんな人だったりしないかなあ?
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