閑話 5月の昼下がり
暖かくなって、こたつ仕事から机仕事にしたので、俺はやろうと思いつつずっと伸ばし伸ばしになってたことをした。つまり、モニタをもうひとつ手に入れて、デュアルディスプレイにした。
わー、画面もうひとつあると、資料見ながら書くのが楽! すごくいい! なんでもっと早く買わなかったんだ……。
「仕事がすっごくやりやすくなったよ、画面広いとやっぱりいいね」
おやつの八朔ピール蒸しパンを食べながら、千歳にそう言うと、喜んでくれた。
『よかったな、でも、まだやればやるほど仕事増えてるのか?』
「うん……まあ……わりと……。萌木さん以外の人からも、これやってあれやってって言われるようになって……」
萌木さんが育休入ったら他の人とのやりとりになるし、それはしょうがないんだけどさ。
「まあ、でも、なるべく効率よく仕事してさ。せっかく仕事安定したし、がんばるよ」
『うん、でも、体だけは気をつけろよ。せっかく婚活もうまくいきそうなのに』
「まだ付き合うかどうかって段階だよ」
俺は苦笑した。
「そういえば、メンズメイク記事さ、さっき納品したんだけど、富貴さんがもう見てくれて、すごくいいって褒められてさ」
『へー、咲さんって本当にメイクうまいんだな』
「それもだし、メイク教えてもらったあと俺が自分でメイクするパート入れたのがいいって言われて。メンズメイク広めてコスメ売るなら、男が自分でメイクできないと意味ないからさ」
『あー、そっか』
千歳は納得したように頷いた。
「あと、これはまだ秘密にしといてほしいんだけど、唐和開港綺譚コミカライズの話が出ててさ。そっちも資料方面で少し手伝うことになった」
『え、漫画でも読めるのか!?』
千歳は色めき立った。
「漫画の準備期間って長いから、まだずっと先だけどね。でも、コミカライズの話が出るくらい唐和は評価されてるってことだから、三巻以降も安心して書けそうだって狭山さん喜んでた」
『そっかあ!』
千歳は笑った。
『ワシ、紙のファンレター毎回出した甲斐があった!』
「狭山さん、ファンレター全部ファイリングして宝物にしてるってさ。あと、てんころアニメ二期が秋だから、そのうち続報出るって」
『よっしゃ! それまでに組紐作り終わろうっと!』
千歳はガッツポーズし、俺は笑った。
「がんばって」
なんか、話してみたらけっこういろんなことが順調だな。まあ、そんなこと言ってると何か起きるのが人生だけど。
でも、千歳となんでもないことを話しながらおやつできる時間が持てれば、多少のことは、頑張れるかな。
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