パフェ
期末テストも無事に終わり、テストの打ち上げとはるちゃんと理恵ちゃんの部活引退の打ち上げも兼ねて、最パフェを4人で食べに行くことにした。ショッピングモールに入っているカフェが最近始めたジャンボパフェを4~6人グループで食べに行くのが最近学校で流行っており、理恵ちゃんが食べたいというので蒼たちも食べに行くことになった。
土曜日の昼過ぎに集合して4人でお店に向かった。久しぶりにみんなの私服姿をみて、お互いに褒めあった。涼ちゃんと理恵ちゃんは、それぞれ水色とミントグリーンの色違いのスカートを履いており双子コーデをしている。二人は仲の良さを表に出すことに躊躇がない。
はるちゃんは、水色リボン付きハーフパンツに白のトップスを合わせており、見るからに涼し気で夏らしさを感じる。蒼は今日はおなか一杯食べそうなので、おなか周りがゆったりしているワンピースを着てきた。ワンピースは黒地に小花柄で、黒だけど少し透けているので、見た目も実際も涼しく最近のお気に入りになっている
「食べきれるかな?一応お昼は少なめにしてきたけど。」
お店に向かう途中、涼ちゃんが嬉しそうな表情で行った。
「部活辞めてから少し太り気味だけど、今日はいっぱい食べるよ。ダイエットは明日から頑張る。」
理恵ちゃんはおそう言ってなか周りを触りながら、笑っている。
「たしかに理恵ちゃん最近ちょっとふっくらしてきたね。でも、そんな理恵ちゃんも好きだよ。」
「女の子にそんなことは言わないの。」
理恵ちゃんが涼ちゃんの頭をかるく小突き、いつもどおりじゃれあっている。そんな様子を、蒼とはるちゃんはこちらもいつも通りほほえましく見守っている。
蒼は内心、はるちゃんと同じようにじゃれあいたいけど、お互いにそんな性格でないので人前でやるのはなかなか恥ずかしくてできずにいる。
「ジャンボパフェ下さい。」
理恵ちゃんはお店に入ると、メニューを見ることもなく注文した。待っている間、店内を見渡すと同じような女子高生グループが数組いて同じようにジャンボパフェを食べていた。お店はほぼ満席で、噂通りかなり人気があるみたいだ。
「お待たせしました。」
店員さんが運んできたのは、普通のパフェ10人前はあろうかと思われる巨大パフェだった。大きな器に、生クリーム、アイスクリーム、ソフトクリームが山盛りになっており、チョコレートソースやイチゴソースがかけられている。トッピングとしてオレンジやバナナなどのフルーツ、プリンやウエハースなどもお菓子も飾ってあり、見た目も華やかになっている。
まずはみんなで記念撮影した後に、それぞれの小皿にパフェをとりわけ食べ始めた。
「美味しいね。これならいくらでも入る。」
理恵ちゃんが満面の笑みで美味しそうに食べている。しばらくはみんな夢中でパフェを食べていたが、
「理恵ちゃんどうぞ。あ~ん。」
涼ちゃんが生クリームをすくったスプーンを理恵ちゃんの口に近づけている。それを、理恵ちゃんがパクっと口に入れた。
周りをみてみると同じことをやっている人たちが多いので、この流れならいけそう。そう思って蒼も勇気を出してプリンのところをすくって、はるちゃんに近づけてみた。
「はるちゃん。どうぞ。」
自分で言っていて恥ずかしくなったが、それでもはるちゃんも照れながらスプーンを口に入れてくれた。
「蒼ちゃんもどうぞ。」
はるちゃんもソフトクリームがのったスプーンを蒼に近づけてきたので、蒼も口の中に入れる。
口に入れた瞬間、シャッター音が聞こえた。
「良い写真が撮れたよ。後で送るね。でも、二人が人前でイチャつくの珍しいね。」
理恵ちゃんが写真を撮っていたみたいだ。
「理恵、隠し撮りはやめてよ。」
そう言いながらもはるちゃんは嬉しそうだ。
生クリームの下には、スポンジケーキやコーヒーゼリーなどが入っており、飽きずに食べ進むことができた。
「そういえば、蒼ちゃん夏休み泊まりこない?両親がハワイ旅行に行くから、その間にお泊り会したいんだけどどうかな?」
パフェを食べながら思い出したかのように涼ちゃんが言った。スキー教室の夜に、布団に入りながらのおしゃべりが楽しかったことを思い出した。
「楽しそうだね。予定空けて楽しみにしておくよ。」
蒼が返事をした後、理恵ちゃんをみるとスマホを操作していた。
「意外とあっさり食べ終わったね。もう1個食べられそう。」
パフェを食べ終わり理恵ちゃんが満足そうにおなかをさすっている。そのとき理恵ちゃんのスマホに着信音があり、画面を見た後、
「涼ちゃん、美穂さんが来てもいいというから、私もお泊り会行くね。」
美穂さんというのは涼ちゃんのお姉ちゃんの事だろう。理恵ちゃんは、お泊り会に参加すべく、お姉ちゃんのほうに許可を取ってもらっていたようだ。
「お姉ちゃんが良いって言うなら、良いけど。理恵ちゃんの親は大丈夫なの?」
「多分大丈夫だよ。」
「理恵、涼ちゃんのお姉ちゃんに私も行ってもいいか聞いてもらっていい?」
はるちゃんもお泊り会に参加したいようだ。
「それも大丈夫だよ。はるも行きたいかなと思って、最初から『友達と一緒に泊まりに行ってもいいですか?』って聞いているから、一緒に行こう。」
「あと、お泊りするとき理恵の家に泊まることにしておいていい?うちの親がうるさそうだから。」
「いいよ。じゃ、私もはるの家に泊まるってことにしておくね。」
高校3年の夏休み勉強漬けかと思っていたら、予想外に面白そうなイベントがあり夏休みが来るのが楽しみになってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます