はるちゃんの家
5月の連休に入り学校は休みになったが、学校の課題、チアダンスの練習、そしてはるちゃんの家に行くことなど蒼は予定が詰まっていた。
5月3日の午前中に蒼はチアダンスの練習、はるちゃんはバレー部の練習した後にお昼食べてから、はるちゃんの家に行くことになった。
理恵ちゃんの家に行った時、何を着ていくかで悩んだこと、挨拶の仕方を調べて練習したこと、理恵ちゃんの部屋での出来事などを思い出す。
同じように今回も少し緊張もするが、今回は制服で行くから服は悩まなくて良いし、はるちゃんの父親はいないみたいだから、少しは気が楽だ。
当日の午前中にチアダンスの練習を終えた蒼は、はるちゃんと駅前のハンバーガーショップに入り、お昼をとっていた。
「手土産、焼き菓子にしたけどこれで良かったかな?あと、夏美ちゃんは?一緒じゃないの?」
「手土産とか、気使わなくて良かったのに。多分何でもいいよ。夏美は家でご飯食べるって言って、先に帰った。」
「はるちゃんのお母さんに会うの緊張する。私のこと説明してくれた?」
「楽しみにしてたよ。写真見せたら、かわいいって言ってたし、大丈夫だよ。」
娘の彼氏に対する反応とは違う気がするが、拒絶されなかっただけ良しとしよう。
食べ終わり、電車に乗りはるちゃんに向った。20分ほど電車に乗り、10分ほど歩きはるちゃんの家の前についた。はるちゃんがチャイムを鳴らそうとするので、
「ごめん、はるちゃんちょっと待って。」
蒼は慌てて、制服のリボンを調整したり、スカートのしわなどを伸ばし始めた。
「はるちゃん大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。緊張している蒼ちゃん、かわいいね。」
はるちゃんが、チャイムを鳴らして家に入る。
はるちゃんのお母さんが出迎えてくれた。
「今日は、夏美のためにわざわざ来てくれてありがとうね。」
「今日はお招き頂き、ありがとうございます。お口に合うと嬉しいですが、召し上がってください。」
蒼が手渡した手土産を受け取りながら、はるちゃんのお母さんは、
「ご丁寧にありがとう。本当に女の子みたいね。中へどうぞ。」
玄関に上がると、夏美ちゃんが待っていた。制服から着替えて、オフショルダーのトップスにミニスカート合わせている。露出の多さに目のやり場に困る。
「森田先輩、来てくれてありがとう。私の部屋、2階なんで、行きましょう。」
夏美ちゃんの後をついて、2階の夏美ちゃんの部屋に入る。
「私も、制服から着替えてくるね。蒼ちゃんも家の中だからブレザー脱ぐ?脱ぐなら、ハンガーどうぞ。」
家の中だと少し暑く感じていたので、ブレザーを脱いではるちゃんから渡されたハンガーにかけた。
「早速だけど、始める?どこがわからないの?」
「この問題どうするか、教えてもらっていいですか?」
「これは、絶対値内を正負で場合分けするといいよ。それでグラフ書いたらわかりやすくなるから。高校の数学は、場合分けしながら解いていくのが多いのが、中学生と違うところかな。」
夏美ちゃんの隣に座り教えていると、夏美ちゃんが肩が触れ合う距離に近づいてきた。上目遣いでみられると、露出の多い服装もあってドキドキする。
「蒼ちゃん、ちょうど私も宿題でわからないところあったから聞いてもいい?」
着替えの終わったはるちゃんが、戻ってきた。見られたらまずいと思って、蒼は慌てて、夏美ちゃんと距離をとる。
その後、3人で勉強していると、1階からはるのお母さんが、
「はるか、夏美、おやつあるから取りに来て。」
その呼びかけに、夏美ちゃんが
「お姉ちゃん、ゴメン取ってきて。私、この問題森田先輩に聞きたいから。」
はるちゃんは、不満そうな顔をして部屋から出て行った。それと同時に夏美ちゃんが距離を縮めて、上目遣いで話しかけてくる。
「お姉ちゃんのこと、好きなの?」
「好きだよ。」
改めて言われると、照れくさいが蒼は答えた。
「私のこと、どう思っているの?」
「はるちゃんのかわいい妹だけど。」
「お姉ちゃんじゃなくて、私じゃダメ?」
夏美ちゃんが、意地悪っぽい表情で聞いてくる。男として来るものがあるが、我慢する。
「はるちゃんが好きだから、ごめん。」
ちょうどそのとき、はるちゃんがおやつと飲み物がのったお盆をもって部屋に戻ってきた。そのあとはおやつを頂き、また勉強をして、夕飯もどうぞというのを上手く断って、はるちゃんの家をあとにした。
はるちゃんが一緒に駅まで送ってくれるというので、二人で歩いて駅に向かっているとき、
「夏美と何話してたの?私の事話してたでしょ。よく聞こえなかったけど、私の名前聞こえたよ。」
変に隠して夏美ちゃんとの仲を疑われるのも嫌なので、蒼は正直に全部話した。
「よくそれで、押し切られなかったね。蒼ちゃんも成長したね。あとで夏美には、あんまり蒼ちゃんをからかわないように言っておくね。」
西野夏美は、駅まで森田先輩を送りにいった姉が帰ってくるとすぐに話しかけた。
「お姉ちゃん、森田先輩たぶん浮気しないタイプだから安心して。結構攻めてみたけど、お姉ちゃんの事好きって言ってたよ。」
「蒼ちゃんからも聞いたよ。あんまり蒼ちゃんをからかわないで。」
「優柔不断なお姉ちゃんに任せておくと、何も進まないでしょ。だから、ちょっと強引にお母さんに合わせて、彼氏がモテて困るって言ってたから、試してみたの。」
確かに最初はちょっと試してみるだけだったが、やっているうちに優しく教えてくれる森田先輩のことを好きになり始めて、最後は結構本気だった。今回は逃したけど、お姉ちゃんと付き合っているなら、まだチャンスはある。
夕食時、お母さんが、
「はるかの彼氏、どんな人だろうって思ったいたけど、いい子だね。家に上がるとき、きちんと靴揃えて上がるし、きちんとお辞儀して挨拶してくれるし、はるかや夏美より女の子らしいね。」
お母さんも森田先輩のこと、気に入ってくれたようだ。
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