不審物を見つけたら触らずに乗務員にお知らせください
レイノール斉藤
第1話
「駅員さん。不審物が!」
「なにぃ!皆さん、下がってください!離れて!不審物はどれですか!?」
「あれです!」
「あれ……ですか?」
「あれです」
「あれ……何ですか?」
「分かりません。ただ不審物なのは確かです」
「確かに……不審物ですね」
「ええ……不審物です」
「何ですかね?これ」
「さあ?」
「あ、動いた。生き物か?」
「バッテリー駆動かも」
「あ、こっち見た。知能があるのか?」
「センサーかもしれませんよ」
「うーむ。こんにちは。……返事はないか」
「微かに震えてますね」
「警戒されているのかも。こういう時は目線の高さを合わせて……」
「あ、私パン持ってます」
「与えてみましょう」
「あ、食べた」
「なんかこうして見ると可愛いですね」
「でも口からじゃなくて体全体で捕食してますが」
「あ、何か2倍くらいに大きくなった」
「色も赤から緑になりましたね」
「何か足も増えましたね」
「羽も生えましたよ」
「なるほど。ああやって飛ぶんですね」
「あ、飛んでった。駅外に出たので、駅内の不審物じゃなくなりましたね。じゃあ、一番線から電車が発車しまーす。閉まるドアにご注意ください」
「あ……」
「何です?まだ何か?」
「卵産んでます」
「これは……不審物ですね」
不審物を見つけたら触らずに乗務員にお知らせください レイノール斉藤 @raynord_saitou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます