第4話

「確信したから、説明しよう……今から君についてる悪魔を浄化する」


「あ、悪魔……?」


ナガレはハンカチを持った右手を前に突き出し、聖なる言霊を呼ぶ。

全く……これをやるのも久しぶりだな。


「JK……ボカロ……VTuber……ステーキ……どうぶつの森……サッポロポテト……つま恋キャベツ……お城のようなマイホーム……エアマックス」


「な、なんなんですか!!」


怯えまじりの声に涙目。おそらく夢架ではない。夢架に居るヤツの叫びだ。


「言霊だよ……とびきり高級なやつらさ。覚悟しな……」


ナガレが夢架の頭にハンカチを打ちつけようとしたその刹那。


「あーーーー!!! いた! いました先生!! リカ先生!!」


瀟洒な店内に、場違いな大声が響いた。

夢架の視線がナガレの背後に移り、ナガレもつられて振り向いた。


「あれ? カナズさん? どうしてここに?」


「どーしてもこーしてもないですよ! 全く!」


カナズは顔中に滂沱と汗をかき、肩で息をしている。彼の遠く後ろに、主担当のリカがパンプスを鳴らして走ってくるのが見えた。

それだけではない。

警官が二人、リカのさらに後ろからこちらに向かってくる。


ナガレが状況を把握できず、動きを止めている暫時、夢架が右脇から抜けてカナズたちのほうに駆けていった。


「ナガレさん……ワタシたちは客観的な事実しか証言できませんからね……」


近くまできたリカが、荒い息を抑えながら申し訳なさそうに頭を下げた。


「……リカさん、カナズさん、君たちが何を言ってるのかよく分からないが、早く悪魔を退治しなくてはいけないんだよ、オレは!」

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