第48話 【聖なるケムリ】タバコ(O Tabaco)

 コロンブスのアメリカ発見以前より、南北アメリカ(北は米国のインディアン、中米ではコスタリカや南メキシコのマヤ文明、南米ではペルーやチリのインカ帝国)の文化では、タバコの煙は神と交信するためのまじないの意味があった。そして、タバコは悪魔を追い払う薬であり、また、精霊の食べ物とも考えられていた。それゆえであろうか、ブラジル妖怪たちのなかには、タバコと関係するものが多い。


 例えばゾンビはタバコを嫌う。森の守護者で不思議な能力を使うサシ、クルピラ、フロール・ド・マトゥそして魔法使いのマチンタ・ペレイラなどは、タバコを魔力の源としている。タバコと関係するブラジルの妖怪たちはインディオの民間伝承の妖怪と考えてよいかと思う。


 以前、インディオのどこかの族長がメディアのインタビューに答えて、「昔、タバコは神聖なものだった。近年では、誰もが簡単にタバコを吸う。実に嘆かわしい」といった趣旨しゅしの発言をしているのを見たことがある。なるほど、今でもインディオはタバコを神聖なものとしており、タバコを通じて神の声を聴いているのだろう。

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