第43話 【子どもの肝臓を食べる】パパ・フィーゴ(O Papa Figo)

 この妖怪はペルナンブーコ州に現れた。青白い顔をした髭面ひげづらの中年男性の姿をしており、たかのような爪と蝙蝠こうもりのような牙を隠している。子どもを襲い、その血をすすり、肝を食べる。なぜなら、血と肝臓には彼が冒されている悪疫あくえきを治すのに役立つ栄養分が含まれているとされているからだ。子供をさらい、肝を薬として食べるというところが日本の妖怪「子取婆」に酷似こくじしている。


 パパ・フィーゴは黄昏時に現れて、子どもたちに玩具や菓子をあげ、時には楽器を演奏するなどして子どもたちの興味を誘う。近づいてきた子どもを、背中に背負った大きな袋に押し込み、人目に付かないようにさらっていくという。小さい子どもを持つ母親は、「日が沈むころにはパパ・フィーゴが現れて、子どもを食べるから、暗くなる前に家に帰るように」と子どもに言い聞かせるそうだ。そんなこともあり、多くの子ども達にとって恐れられている妖怪である。

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