優しいという事は、自分では分からない。それを再認識出来た物語です

この様な内容の作品を読んで爽快感でスッキリし気分が晴れたという読者は少ないと思います。
しかし、読み終えた後、作品の世界に浸れるある作品と思います。作者には失礼ですが、設定は似たような作品もあると感じましたが、本音だけでは、生きるだけで難しい、リアルな人と人の繋がりが、ある意味とても共感することが多く、中盤から作品に引き込まれて一気に読むことができました。
定番と言ったら失礼ですが、終わり方も好きです。
この作品では、正しいと思った行動も、本当に正しかったのか?
私は、相手を想って最善を尽くしている。
そういう自分を評価するのは自分では出来ないのでは?
と、読者に問いかけているのかと感じました。

作者は、その問い掛けをして、物語を終えています。
私たち読者に、そう言った考えや想像する愉しみを残してくれています。

私の言い方で言えば、妄想や想像することが、好きな方にオススメな作品です。

あと、寿命という言葉についてのエピソードが出てきますが、此処は特に読んで欲しいほど、私の心に残りました。

今後作者に期待したいのは、主人公の顔が想像出来なかった。というか、私が小説を読むときの癖なのかも知れませんが、特に主人公の容姿など想像しながら読むのですが、この作品では、主人公の性格などは割と細かく描かれていますが、容姿は最後まで想像できませんでした。これは、作者の意図かも知れませんが、私的には、感情移入することが難しかったです。

あと、主人公の過去についてもう少し描かれていたら良かったかも、私なら冒頭に、掴みの為にそこから描くかも。
私の読解力の無さかもしれませんが、主人公が最後までミステリアスの人に感じました。

次回作も楽しみにしています。