鍵を隠すなら
万倉シュウ
鍵と自転車の不一致
木を隠すなら森の中、という慣用句がある。物を隠すなら、同じ種類の群れの中に紛れ込ませたほうが効果的だという意味だ。木の葉を隠すなら森の中、とも言う。イギリスの推理小説『ブラウン神父シリーズ』で登場した台詞に由来するらしい。人を隠すなら人の中、と応用も利かせられる。
しかし、何事にも例外はある。群れの中に投じたところで、かえって目立ってしまう場合もあるのだ。例えば、迷彩服は森の中では効果を発揮するけれど、人混みの中では逆効果だ。この場合、迷彩服は森林と同種という扱いなのかもしれないけれど。
この手の隠蔽は一種の賭けだ。気付かなければ異様だと思わないけれど、一度気付いてしまえば、紛れ込ませなかった時と比べて、強烈に印象に残る。先の迷彩服なんて良い例だろう。
俺も今、同じ状況に
誰かの
しかし、俺の隣には納得いかない面持ちを浮かべる人物がいる。その人物は腕組みしながら、俺のほうを見て、首を
「
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