三ヶ月の命

さゑな

沈黙

「今日もまた振られた…」

 気分の乗らない低い声が学食の騒音にかき消されるように聞こえる。

 声の主は拓実である。彼は自分に自信があるのか、髪の毛を常に決めて、大学中の女子に声をかける、見つめる、手を振るなどの行為をずっとしている。彼の話は女子の中では有名であり、友達にもならない方がいいと言われるほどだ。彼もそれを知っている。しかし、やめないのだ。

「相変わらず恥ずかしいな。」

 冴えない声の主は拓実の友達である勇人だ。

 勇人は高身長で顔も悪くない。しかし、女性に興味がない、残念な人だ。

 拓実は言う。

「なんで、君は彼女を作らないのだ。君が彼女を作れば、俺にも彼女を紹介してもらえるのに。」

 その言葉に対して勇人は

「お前こそ、紹介で彼女を作るような性分ではないだろう?そもそも、お前の性格で彼女ができたら、それこそ世界一の女性だよ。」と、呆れながら言った。

 というのも、拓実が彼女にしようとしている女性は、噂話や見た目で人を判断することなく、相手の姿や考えを真に見てくれる人だからである。

 二人は沈黙し始めた。

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