方向の行方
問いは必ず答えを導く。壁も天井も無いこの国において、もっとも重要なことは叫ぶことだった。それを教えてくれたのは見知らぬ旅人だったが、あまり記憶は定かではない。しかし、雨は降っていなかったはずだ。いずれにしても、あらゆる可能性について言及することは悪いことではないし、聞く耳を持たない人間の席を用意する必要もない。
恐ろしいほどまでの冷気が体を包み込み、私のあらゆる関節は砕け散った。唯一無事だった左足を引きずりながら、なんとか前へ這い進む。人間の耐え得る限界は脆く崩れ去って、その美しさはなんとも形容しがたい。私は生きているのか、それとも生きながら死んでいるのか、それすらも理解できない境地を体感した。
ようやく森に帰ってきた頃には、月が空高く笑っていた。太陽と月の関係は今なお憶測で語るしかなく、その端緒さえ掴むことができなかった。そうして考え続けた結果、私には三人の兄弟がいることが分かったし、すべての兄弟がすでに息絶えていたことも事実である。しかし、私にはそのことを少女に伝える勇気がなかった。落ちていくことだけが人生なのかと、絶望する日も近いだろう。
「冷たい篝火、そこに佇む騎士、それらが答えだ」
私は少女にそう伝えた。オレンジとオレンジの間にあったのはその二つだけだった。本当に答えが見つかるとは思ってもみなかったが、そんなことよりも、私は成長を感じていた。太陽はすでに頭上高く昇り、私たちを追い越していた。少女の答えはすぐそばにあったのだ。間に合うかどうかなど問題ではなく、間に合わせることに意味があるだけなのだと分かったのは、それから二年後のことだった。
少女は泣いていた。美しい瞳から、美しい雫が零れ落ちて、地面を濡らした。私は少女に何一つ言葉をかけてあげられなかったし、少女も言葉を必要としていなかった。私は満足を知り、優しさに触れた。おそらく少女も同じだろう。つまり、その点においては、私と少女は等しい存在だと言える。
少女は涙を拭いてから言った。
「ありがとう。これで安心して朝を迎えられるわ。無意味で無価値な長い夜が終わって、また始まるわけだけれど……ねえ、もしよかったら、あなたも一緒にどう?」
私は少し考えるフリをしてから答えた。
「……遠慮しておくよ。君の邪魔はしたくないし、他に用事もあるから。それに君はひとりのほうがいい。君は答えを見つけてしまったんだから」
いつの間にか、雨は止んでいた。
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