第24話 両面宿儺の正体(^^)ノ
昨日は、中京競馬場近くのホテルに宿泊し、夜は、ひつまぶしに舌鼓を打ったのであります。
さて、今日から飛騨高山である。
夫は、夜遅くまで、ネットで飛騨の事を調べていたらしいが、割と早起きをして、朝食をホテルで済ませてから、私達は飛騨高山へと向かった。
飛騨高山は、数年前に友人と訪れてから、毎年のように旅行するようになった。
街並みも趣(おもむき)と品があって、食べ物も私の舌に合う。
それからと言うもの、私は、すっかり飛騨高山の虜となってしまった。
飛騨高山への移動中、夫が、太平洋戦争の末期には、空襲を恐れて、草薙の剣は飛騨の水無(みなし)神社に移動したんだよね、と言った。
私は黙って夫の話しを聞いていた。
夫が言うには、草薙の剣の神威を考えると、それこそ何が起きるか分からないから、おいそれと移動なんか出来ない筈だと。
それでも、草薙の剣が水無(みなし)神社に移動が可能だった言う事は、この水無(みなし)神社にこそ、何か秘密があるのではないかと思ったそうで、夫は昨日遅くまで、それに関わる事を調べていたそうだ。
飛騨国一宮の水無(みなし)神社は、飛騨高地の中央に位置する位山(くらいやま)を御神体とした神社である。
天皇の即位の際には、位山(くらいやま)から切り出した一位(いちい)の木で作った笏を使用するそうで、その霊格の高さが伺える。
夫は、飛騨一宮の水無(みなし)神社では位山の主は両面宿儺(りょうめんすくな)であると伝えているのだけど、両面宿儺(りょうめんすくな)は飛騨では英雄として祀られる鬼神なんだよ、と言った。
両面宿儺は、私もよく知っている。
私は、千光寺にある有名な両面宿儺(りょうめんすくな)像に会いに行く為に、毎年飛騨高山を訪れていると言っても過言ではない。
円空によって制作された、あの荒々しい両面宿儺(りょうめんすくな)像を拝観する度に、私はトーテムポールを思い出す。
そう、円空の両面宿儺(りょうめんすくな)像は飛騨高山のトーテムなのだ。
飛騨国は、記紀の記述が極端に少なく、日本書紀にわずかな記述があるのみだが、そこに両面宿儺(りょうめんすくな)が登場すると言う。
日本書紀によると、仁徳天皇の御代、六十五年、飛騨国にひとりの人がいた。
名を宿儺(すくな)という。
一つの胴体に二つの顔があり、それぞれ反対側を向いていた。
頭頂は合してうなじがなく、胴体のそれぞれに手足があり、膝はあるが、ひかがみと踵がなかった。
力強く軽捷(けいしょう)で、左右に剣を帯び、四つの手で二張りの弓矢を用いた。
皇命(すめらみこと)に従わず、人民から略奪することを楽しんでいた。
それゆえ和珥臣(わにうじ)の祖、難波根子武振熊(なにわのねこたけふるくま)を遣わしてこれを誅した、とある。
夫は、この姿って明らかに異形だよね、と言った。
確かに、そんな姿の人間がいたら怖い。
飛騨では英雄として祀られているのに、大和政権は、この両面宿儺(りょうめんすくな)をまつろわぬ悪鬼として描いているんだよね。
でも、記述自体は少ないけれど、両面宿儺(りょうめんすくな)は、日本の正史である日本書紀に記さなければならない程の人物だった事は間違いないと思うよ。
この両面宿儺(りょうめんすくな)を倒すように命じた仁徳天皇は、大阪に王朝を築いていたとされるのだけど、仮にだよ、天皇が聖書に基づいて国造りを進めていたのなら、難波宮(なにわのみや)は、エデンの園を模して作る筈だと思うんだ。
聖書の記述には、神は、アダムとイヴを追放した後に、人類が罪のある状態のまま、永遠の命を得てしまわないようにと、命の木への道を守らせる為、エデンの園の東に、回転する炎の剣と、ケルビムを置いたとあるんだ。
草薙の剣は、草に燃え移った炎を薙ぐ事で、その名が付いたのだから、回転する炎の剣とは、熱田神宮で祀られている草薙の剣がそれに該当すると思うんだよ。
次に、ケルビムについてだけど、ケルビムって、天使階級第二位の智天使の事なんだよ。
その姿が、また異形の姿で旧約聖書のエゼキエル書には、ケルビムについて、こう書いてあるんだ。
彼らは人の姿を持っており、各々、四つの顔を持ち、また、その各々に四つの翼があり、翼の下に人の手があった。
その足はまっすぐで、足の裏は、子牛の足の裏のようであり、みがいた青銅のように光っていた、と。
これさ、顔が四つと言う点を除けば、両面宿儺(りょうめんすくな)はケルビムの姿と類似してるよね、と夫は興奮を抑えるように、ゆっくりと語った。
私は背中が、ぞわぞわとするのを感じていたが、それじゃあ、両面宿儺(りょうめんすくな)はケルビムって事なの、と聞くと、夫は、そうだね。
そう考えると、草薙の剣が水無(みなし)神社に移動出来た事に、納得が出来るんだよね。
聖書の記述だと、ケルビムと回転する炎の剣は、セットで語られているから、と言った。
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