第9話
ピピピピ‥‥ピピ。
目覚ましが鳴るのと同時に目が覚めた俺は階段を駆け下りた。
「おはよう」
「あら、おはよう」
俺は朝食が出来るのを待ちながらカレンダーを確認した。
更に一年戻っている。今俺は高一だ。
「かあさん、朝ごはんなに?」
「パンだけど」
「何かがっつりした物ある?」
「そんな事急に言われても何もないわよ」
「わかった。じゃあなんか買って行くからお金頂戴」
「仕方ないわねぇ」
母はそう言いながら財布を取りに行った。
この時はまだ優しかったなぁ。まぁ俺が怠けてたから扱いが酷くなっただけだけど。
俺は母から千円を貰い、家を出た。
ここに来て疲れがどっとでてきた為、力のつくものを食べないと。
そういえば今日はゆうやが見当たらないなぁそんな事を考えながら途中コンビニに寄ってチキンを買い、食べながら学校に向かった。
学校に着き、そのまま部室に向かうと、一年は俺以外みんな来ていた。その中にゆうやの姿もあった。
「りょうやお前遅くねーか?」
「え?遅いかな?」
「いいから、先輩が来る前に早く着替えろ!」
「お、おう」
そうだ、今の俺は一年。先輩よりも早く来ないといけなかったのだ。
その日は久しぶりに部活で先輩にしごかれてくたくたになりながら一日を終えた。
この頃は部活と勉強でいっぱいいっぱいで恋愛する余裕もなくて、もちろん愛とも出会ってないわけだから思春期の男子にとってはもどかしい日々を送っていた。
「あー恋してー!」
帰り道ゆうやが大声で言った。
「おい、恥ずかしいからやめろよ」
「お前はさ、この前も告白されてたし選び放題じゃん?それに比べて俺なんて‥‥」
「そんな焦らなくてもいいんじゃね?そのうちモデルみたいな子と付き合えるかもよ?」
ゆうやはお調子者で外見もけしてイケメンとは言えないが、中身はいいやつだ。だから将来あんな綺麗な子と付き合えたんだと思う。逆に俺は後にも先にも愛だけだった。
正直もっと色んな子と付き合って青春すればよかったと、後悔していた。それならばせっかく戻れたこの体で遊びまくろうか。
「お前に俺の悩みなんかわかんねーだろーよ」
「大丈夫だって、俺が補償するよ」
「どんな自信だよ」
「もうすぐ九時がこようとしてんのに全然涼しくなんねぇな」
「話晒すなよ」
「晒してねぇよ。とにかくお前はいいやつだ!」
「何言ってんだよ!」
そう言ってゆうやは照れ笑いをしていた。
「明日の朝飯何だろー」
「大人みてーな事言ってんじゃねーよ」
俺とゆうやは家が近い事もあって小さい頃からいつも一緒に遊んでいた。そして、本当だったらここにもう一人いて、そいつもバスケが好きだったからこうして、くだらない事を言いながら毎日を過ごしていたのかな。
「りょうや、どうした?」
「ん?」
「そんな思い詰めた顔して、さっきまで笑ってたのにもしかして情緒不安定?!」
「思い出してたんだよ」
「何を」
「ミキ‥‥」
「‥‥‥」
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