第18話 キュンとしたけど
今、『きのう何食べた?シーズン2』と言うドラマが楽しみで毎週観ている。このドラマは弁護士のシロさんとその恋人のケンジの話なのだけど、今週はケンジの実家の家族にシロさんを紹介すると言う話だった。初めての顔合わせで、少ししんみりするところもあり、温かい気持ちになるところもあってとても良い話だった。この話を観て、家族って良いものだなと思った。
私と夫の家族の顔合わせは今から21年前。もう、あの時の緊張感も初々しさもない。
食べ物の多い少ないに本気で怒るところに苛立ちを覚え、息子より多少粗末に扱われると大人気なく拗ねたりする所に疲れたりもする。その辺はまるで子供だ。でも、会話は普通にあるし、お互いの趣味はまるでバラバラだけど、一緒によく出掛けたりもする。図書館のお誘いは夫の方からだった。
恋愛感情とかそんなものは当の昔に吹き飛んで、今はもう家族の一員。いるのが当たり前の空気のような存在でもある。言うなれば、同志や親友という感じだろうか。でも、この前キュンとする瞬間があった。
朝、私は苺ジャムの瓶を開けようとしていた。買ってきたばかりでいつものよりも蓋が大きく力が入らない。何度やっても何回捻っても中々開ける事ができなかった。在宅ワークを始めようとパソコンの準備をしている夫に「これ開けて」と言ってジャム瓶を差し出した。「え〜、今?」と言いながらギュッと回したらポン!と音が鳴りすぐ開いた。「ありがとう!」
私はそれを受け取った。
内心、キュンとした。久々の感情。すごいなぁ。一回で開けてしまうなんてやっぱり男だなぁと。でも、その後、「技術料1000円!」と言って手を出してきたので台無しだった。まあ、夫の冗談なのだけど、それは言っちゃだめでしょう。百年の恋も一瞬で冷めるでしょう。実に興醒めである。そして、夫は自分で雰囲気を台無しにしたのを未だに知らない。
もしも恋人や奥様がいらっしゃる方はそれは言わない事をオススメします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。