宮崎県で日向ちゃんが待っちょるちゃ!

白咲夢彩

プロローグ

 風邪なんか引いたことのなかった俺が、突然大変な病気になってしまった。


 さてさて、俺は病気になってしまったと分かった瞬間に、まず何処に行のくかすぐに決めて行動をした。俺はとにかくその決めた場所へと飛び立つため、急いで交通手段の確保をしたぜ。まあ、ここまでは簡単だ。予約は今はスマートフォンで簡単にできる時代だから、混んでさえなけりゃ大丈夫だ。

 はあ、しかし問題なのはここからだ。俺はこの次の手順が超絶嫌なんだが……やるしかない。

 鬼のような関門を乗り越えないとこの先は進めないというのがゲロだな。

 うーん。どうするか。風邪って言っても許されないし、骨折って言っても違うし。辞めるか?そうやってぐずぐず悩んで諦めるのか俺?諦めて無理をするのか?もう、交通手段の確保はしただろ?後戻りは出来ないぜ。後戻りしない為に先に交通手段を確保したんだからな?どうする俺?


 悩んだ結果、毎朝眺めるだけだった番号をスマートフォンの電話帳から掘り起こし、俺は恐る恐る押して出た奴にこう叫んだとさ。


「七紙(ななし)剛(つよ)志(し)……仮の病気になってしまったので、しばらく仕事にはいけませーーーーん!!」


 確か電話に出てくれたのは超絶怖い中年男上司だったと思うけど、俺が発した言葉の後に何も言ってこなかったので、それだけ俺がやばい病気だってのが伝わったらしい。俺の上司は超が百個付くくらい怖いし、性格もくそみたいな奴だから普通に話すだけでも死にそうになるんだが、今回は驚いたことに何も言わなかった。どんな攻撃が来るかわからないから、鉄壁の防御態勢を心の中に作ってやったというのに。

今回は初めての試みだったし、てっきり「何が何でも来いてめえ!!殴られてえのか!!」とか「評価を下げてやろうかあああ!?」なんて脅されたりするもんだと思っていた。

 まあまあまあ、怒られなかったし伝わったなら良しとしよう。つ、伝わってことで俺は解釈させて頂こう……。

「伝わってなかったら、あ、あの上司が黙るわけがねえよな……」

今、俺の手に目を向ければ、ぷるぷると震えているのが見えるのだが……別に怖いからじゃないぞ?こ、怖くなんかないはずだ。こんなところで怖がってちゃ病気がすぐに治ってしまう。しっかりするんだ俺。


 俺はちゃんと病気なんだから問題はねえ!!


 俺は……待ちに待った病気になってしまった(・・・・)ので、仕方なく会社に休みの連絡を入れただけだぞ!!


 明るく眩しい空がどこまでも続く素晴らしいこの夏の日に、俺はやっと病気になることが出来たのだ!!


 ハハハハ。そうだ、恐れる事なんて何もない。楽しく行こうぜ俺。


 これから、南国へ旅に出るんだからな!

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