第1話 10000/1(前編)

オイルと火薬の臭いで満ちた街。ガレル。


そこは昼夜問わず永久に太陽かのように明るく、野郎共は騒ぎ立てる。


そんな街角の酒場に一人。静かに佇む男が居た。


酒場なのに酒ではなくサラダをムシャムシャと食っている男。


それが気になったのか一人話しかけてきた。


「よぉ!あんちゃん。サラダばっかり食ってるとガリガリになるぜ?肉も食わねぇと!?」


良い人そうな雰囲気を出して店主に肉を頼む。


すると店主は予め用意していたかのように肉をテーブルに滑らせて運んできた。


「ここの肉は食った事あるか?A級の魔術部品を使って作った最高級の肉だ!!ちょっとそこらよりは高いが……この秘伝のタレ。そしてこのホカホカの出来栄え!!食いたいだろ?一皿奢るから、それで腹を満たしな!」


そう言い元の場所へと笑いながら戻っていった。


店主は金を受け取るとまたグラスを拭き始める。


男は更に乗っている肉を一つ摘むとサラダの葉っぱと一緒に口の中へと放り込んだ。


「………」


一口噛むと突然ちょっとしかめっ面をしたが、すぐにまた食べ始める。


そうしていると入口から突然大人数の人が入ってきた。


ざわめく店内。


店主の顔も少し険しくなった気がした。


「ヨォ……貸し切りさせてもらうゼェ?」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る