第23話 成神
教会の一室。そこには3人の人物が集まって会議をしていた。
「最近になって派手に適合者を投じましたが、結果が好ましく無いですね。やはり、板川と朽木が相手では並の適合者では相手になりませんね」
教会のマスターの一人、
「相変わらず、回りくどい言い方ね。要は私達、マスターの誰かが出る必要があるのでしょう。教祖様もいつ痺れを切らすか解らないし、いい加減に本気で
その蛇川に対し、一切の物怖じをせずにふてぶてしく言葉を返すのは同じくマスターである
「マスター同士で揉めるのは良くないな。僕達は仲間同士なのだから仲良くしないと」
その二人の仲裁に入るのは
「別に言争いするつもりは無いわ。結論をはっきりとしましょうと指摘しただけよ」
「千原は言葉を慎め、同じマスターとはいえど成神さんは教祖様と共に昔から教会を発展させてきた人なんだぞ」
「蛇川君落ち着いて、マスターに上も下も無いよ。教祖様は例外だけど僕達は平等さ。それと
「成神さんだけで行かれるのですか?」
「
「貴方、朽木が相手でも平気なの?」
「千原君も余計な心配はしなくていいよ。その不始末も含めて終わらせてくるさ」
成神はそう言って部屋から出ていった。
「強がりでなければ良いのだけど、意外に不器用なのよね。アイツ」
千原は成神を見送った後、溜息をつきながら小さな声でそう呟いた。
◇
突如として
「どうも、
モニターの映像が切り替わる。映しだされたのは
その納められている兵器が分解され組み立て直され、何か異形のモノに作り変えられていく様子が映っている。その作業をしている人達はどこか虚ろな表情で一人の女性の指示に従っているようだった。
ソノ女性は真紅のドレスを身に
また謎の異形が戦車などの巨大な兵器を軽々と運んでいるのが見えた。ソレは全長10mは超える巨大な黒い人型の異形で足が3本あり、腕には鋭いかぎ爪があった。そして顔があるべき所には血のように赤い触手が伸びていた。
異様すぎる光景に唖然となった所に再び成神の声が響く。
「この基地は僕が占領した。彼らはひとまず殺しはしない。人質として使わせてもらう。さてそれでは本題である僕の要求を言おう。一週間以内に板川と朽木が所属している部隊をここに向かわせろ。もちろん、
成神がそう言い終えると見るモニターの画面から成神は消え、機器類は正常な動きを取り戻した。
◇
「こんなの絶対に罠じゃないっスか。マジで出現なんスッか?朽木さん。成神の事です人質なんて信用ならないですよ」
中村さんが珍しく朽木さんに珍しく意見を言っている。例の成神からの要求があってから直に
「落ち着きなさい。中村君、君の気持ちは解るがあの基地は人も含めて国の支援が大きいのだ。単純な
「クソッ、そこまで計算ずくか成神の野郎」
「この女性と巨大な異形どちらも厄介な適合者な感じがするわね。この制作中の謎の機械も気になるし、これにプラスして本命の成神を相手にする必要があるんだから本当に頭が痛くなるわね」
この絶望的な状況にいつも明るい油江さんも珍しく弱気な様子だ。
「いや、恐らくあそこに映っていた異形は全て成神だ」
「えっ…」
朽木さんの言葉に全員が驚く。
「待って、どういう事なのそれ?わけがわけが解らないわ」
「女性も巨大な異形もそしてあの謎の機体も1つの異形の力だ」
「別個体じゃないんッスか?」
「成神の異形は神格クラスの中でも異質なんだよ。アレのモデルは複数の化身が存在していて、その化身ごとに様々な能力が備わっているみたいなんだ。アノ異形達は別個体で存在しながら全て成神の自身なんだよ」
「ますます、わけが解らないわ。ソノ化身を同時に顕現させて同時に運用するなんて本当の神様ならまだ解るけど、いくらなんでも人間のできることじゃないわよ。下手したら自己が崩壊するわ」
「それができてしまう程に成神の精神力の強さは他の適合者達と比べても異常なんだ。こんな事を言いたく無いが、人を超えた超常的な存在かもな本当に…」
「成神はたった1人で
あまりの展開についてこれず唖然としていたが、俺はその疑問を投げかけずにはいられなかった。
「1人で国の軍隊すら滅ぼせる。それが教会のマスターである資格なのかもな。神の力と
今まで実際に対峙してきた恐ろしい教会の適合者達、それら超えるマスターと呼ばれる存在。ソレと戦う事の恐ろしさを改めて理解させられた。人間でありながら
俺達はソレと戦い倒さなければならない。
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