狂気前戦 イスの記録
しき
第1話 狂気の目覚め
俺の名前は
そんな俺が目を覚ますと知らない部屋で拘束されていた。手足は動かせず、口も猿ぐつわをつけられて
「目が覚めたの井須さん。落ち着いて聞いて貴方は危険な感染症に罹ったのでこのまま病院に搬送することになったの」
保険室の先生である
そこで俺は今までの経緯を思い出した。昼休みの校庭で
あの時の虫ってそうとう危険なやつだったのか。この拘束具は万が一俺がパニックになって暴れることが無いようにするためのものか?ここは病院なのか?俺は混乱して様々な疑問が頭に浮かんできた。
その時、部屋の扉が吹き飛ばされ何者かが部屋に侵入してきた。その侵入者の姿は異様で燃え盛る炎をまとった真っ赤な鬼の様な姿だった。
「適合者候補をようやく見つけたのに
先生が何かを叫んでいるが意味不明である。何が何だが解らなすぎて俺の方こそ叫びたいいが猿ぐつわのため言葉になら無いし、拘束されているので逃げることもできない。もう詰んだ状況でわけのわからないファンタジーの世界に巻き込まれたのである。
そう思っていると俺が校庭で見た謎の虫が先生の周りに出現した。虫達は異形の鬼に向かって行ったが、いとも簡単に燃やされてしまった。
突然始まった異能力バトルの力の差は明らからしい。先生が焦っているのが解る。
異形の鬼の進行が止まった。侵入者と先生の間に人が現れた。制服を見るに同じ学校の女子生徒だろう。猿ぐつわをされているので同じく捕まっていたのだろう。不自然なことに拘束はされていないのにも関わらず、逃げ出そうとしない。親しい先生を助けようとした感じでもない。無理やり前に引きずり出される様に歩いている。その表情は涙に濡れており、必至に進行方向の異形から顔を背けようとしている。体の自由がきかないみたいだ。
「虫を侵入させておいた人質を用意して良かったわ。神格クラスの適合者だらかイカれ野郎と思っていたけど倫理感があったなんて嬉しい誤算ね」
先生はそう言いながら俺の拘束具を外す。その時に脳に激痛が走った。
「貴方にも虫が入っているから変な行動しないようにね。でないと虫が脳を壊すわよ。でも心配しないで貴方は貴重なサンプルだからちゃんと従えば命までは取らないわ」
その言葉に怒りを感じた時だった。先程とは違う頭痛とわけのわからない気持ち悪さが俺を襲った。脳裏に先端にハサミの様なものがついた触手を持った巨大な円錐型の巨大な不気味な生物が浮かび、俺は声になら無い悲鳴を上げた。
意識が戻ると俺の頭から虫が壁抜けのように出ていた。
「まさか、もう覚醒したの」
先生が今度は慌てて拘束具を俺につけ直す。先生の手が俺の体に触れた瞬間また不思議なことが起きた。何故か今俺は俺自身の体を見下ろしている。先生と俺の体が入れ替わっている。俺と先生はわけが分からなくフリーズしてしまった。
そのすきに異形の鬼は女子生徒を通り抜け俺達の目の前に到達した。女子生徒は先生と俺の体が入れ替わると同時になぜかその場で崩れ落ちたようだ。どうも虫達は先生の精神状態に大きく影響されるらしく周りにいた虫達はデタラメな動きをとり始めた。
突然、異形の鬼の炎の拳が俺の視界いっぱいに入った。あっ、俺死んだわと思った瞬間また視界が変わった。どうやら自分の体に戻ったらしい。
先生の顔は吹っ飛び、胴体から別れ異常なまでに燃え初めた。それと同時に周囲の虫達は段々と薄くなり消えていった。
「どうやら寸前のところで自分の身体に戻れた見たいだな。命拾いしたな。状況が状況だけに両方殺すのもしかた無いと思っていたんだが良かったな」
異形の鬼から優しそうな男性の声がした。内容は物騒極まりないものだが。
異形の鬼が人間の姿に変わった。30代ぐらいの男性で優しそうな顔つきをしている。身長は180cmぐらいだろうかスーツがとても似合っている。
その後、黒ずくめの怪しい連中が次々と部屋に入り女子生徒を保護したり、先生の死体など持ち運んだりし始めた。
一方俺の方はこの拘束状態のまま大きな車に運ばれた。
「そいつは危険だから絶対に直接触れるな」
と異形の鬼だった男が指示していた。俺の平凡は今日で死んでしまったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます