嫁が俺を裏切ってイケメン浮気した。女性恐怖症になった俺やけど、愛する女のために異世界でハーレムを目指すで! 

panpan

第1話 プロローグ

 俺の名前は中田 笑騎(なかた しょうき)。

大阪生まれのナイスガイや!

オリンピックにも出ていた親父の影響で、小さい頃から柔道をやっとる。

自慢やないけど、練習でも試合でも俺はほとんど負けたことがない。

唯一負けたのは親父くらいか……。

まあ、その親父も小さいこと病気で死んでしもうて、今はおかんと2人暮らしや。

なんか硬派なイメージが湧くかもしれんけど、俺は現役バリバリのオタクや!

中坊の頃、二次元美少女に心を奪われてから、俺は二次元を中心に生きてる。

休日はアニメ鑑賞(ハーレムオンリー!!)や美少女ゲームに勤しんでるし、バイトで稼いだ金をほとんどアニメグッズやライブとかのイベントに注いでる。

友達もオタク系が圧倒的に多い(男ばっかなのがしゃくやけど)。

柔道と二次元美少女とどっちが大事やと言われれば、迷うことなく二次元やな。

そもそも柔道かて、スポーツしてる男はモテるちゅう話を真に受けたのがきっかけやしな。


 こんなイケてる俺やけど、リアルの女からは全くと言って良いほどモテへんかった。

別段嫌われてるわけやないで?


『中田君は男としては見れへんけど、友達としてめっちゃ好きやで?』


『話も腹もおもろいから、いじられキャラとしか思われへん』


 このように好印象なのはええけど、男としては残念と思われとる。

……っていうか腹がおもろいってどういうこっちゃ!

人より腹が出とるだけじゃ!!


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 だけど、そんな俺にも転機が訪れた。


「笑騎……私と付き合ってくれへん?」


「えぅ?」


 高校2年生の夏、俺は女の子に「話がある」と言って校舎裏に呼ばれた。

その内容はなんと告白や!

その子は森繁 美鈴(もりしげ みすず)。

高校でも人気が高い美少女で、俺の幼馴染や。

清楚な黒髪のショートカットに、出るとこは出てるナイスバディ!

さっき風でめくれたスカートから見えたパンツも乙女の純白や!

柔道部のマネージャーをしてるから頭もええし、しっかりしとる子なんやで?

ガキの頃は可愛げのない生意気な女やったけど、高校生になってからは別人のようなべっぴんさんになった。


「……嫌かな?」


「そっそんなことあらへんで! 美鈴みたいな美少女に告られるなんて、男冥利に尽きるわ!でも……なんて俺なん? 美鈴ちゃんくらい美人な子なら男はいくらで寄ってくるやろ?」


「あっアホな話かもしれんけど……小学生の時、ウチを助けてくれたの、覚えてる?」


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 それは小学5年の夏休み……。

私は夏休み中のプール授業を受けるために朝早くから学校に来ていた。


「美鈴ちゃん、ちょっとええ?」


 更衣室で着替えていた私に話しかけてきたのは、クラスメイトの佐藤詩織(さとう しおり)ちゃん。

クラス一の美少女と言われるほどの可愛い子。

クラスでは女子のリーダー的な存在で、私みたいな地味女とは接点なんてあれへん。


「なっ何かな?」


「あんた、レイジ君と付き合ってんの?」


 レイジ君っていうのは、学校一のイケメンと言われる男子。

明るくて愛想も良い子で女子にモテモテと聞いているが、この子とも接点はない。


「つっ付き合ってへんよ? そもそも話したこともないし……」


「嘘つかんといてよ! 昨日レイジ君に付き合ってって言ったら、美鈴ちゃんが好きやから無理って言われてんで!?」


「そっそんなこと言われても、本当になんも…‥いたっ!」


 身に覚えのないことを否定するも、詩織ちゃんは私を突き飛ばした。

私はロッカーに体をぶつけてしもて、倒れてしもた。


「不細工のくせに、何調子乗ってんの? マジで意味わからん。 言っとくけど、レイジ君は私の彼氏になるやからな? あんたみたいな不細工は、その辺のジャガイモみたいな男子がお似合いや」


「いっ痛い! やめてっ!」


 詩織ちゃんは恨めしそうな顔で私の髪の毛を掴んで引っ張る。

助けを呼びたいけど更衣室には誰もおらんし、怖くて逃げることもできひんかった。

泣くことしかできひん自分が情けなかった。


「詩織ちゅわ~ん!!」


 その時、ロッカーの中から水着姿の笑騎が飛び出してきた。


「なっ何!? いやっ! なにすんねん! 変態!!」


「ぬほぉぉぉ!! これが詩織ちゃんのぬくもりか!! おぉぉぉ!! かすかなふくらみを感じるで~」


 笑騎は詩織ちゃんに抱き着くと同時に押し倒し、詩織ちゃんの胸に顔を摺り寄せる。


「詩織ちゃん! チューしよ!チュー!」


 笑騎は唇を突き出して詩織ちゃんにキスをせがむけど、詩織ちゃんは必死に笑騎の顔を押さえつけて抵抗する。


「やめてっ! キモい!!」


「ぬがぁぁぁ!!」


 笑騎の手からなんとか逃れた詩織ちゃんはそのまま外に逃げて行った。


「お前、大丈夫か?」


 笑騎は私に振り返ると、手を差し出してくれた。

それと、これは夏休み明けに聞いたんやけど、レイジ君が言ってた美鈴って言うのは私やなくて、同じ名前の6年生やったみたいや。

詩織ちゃんはその人にも私のような嫌がらせをして、それがバレてクラスから孤立してしまったみたいや。


「あっありがとう……大丈夫や」


 私が笑騎の手を掴んで立ち上がると、彼は詩織ちゃんに引っ張られた私の髪を手櫛で軽く整えてくれた。


「そか、ほんならプールでな!」


 笑騎はそれだけ言うと、女子更衣室を出て行った。

ドアを潜り抜ける際に見た彼の太陽のような笑顔は今でも目に焼き付いている。


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「それから私……笑騎のことばっか考えるようになってな? 好みの女の子になるために、料理とかダイエットとか、色々頑張ったんや。

それで……自身がついた今、私の気持ちを言おうと思ってん」


「そうやったんや……でもあれは、詩織ちゃんの着替えを覗こうと隠れていたら、たまたま目に入っただけや。 それに、あの時の俺はアホやったから、美鈴ちゃんを助けたいとか守りたいとか考えてへんかったで?」


 まあ実際、詩織ちゃんの胸に飛びついた訳やし……あの後、担任やおかんにしこたまシバかれてもうた。


「そんなん関係ないよ。たまたまでも笑騎は私を助けてくれた……そんな笑騎を私は好きになってん!」


「……」


「それだけやないよ? 笑騎はいつでも私に勇気をくれた……小6のテストで悪い点を取って親に怒られた時、笑騎は自分の0点のテストを見せて『お前頭ええな!』って励ましてくれた……中2の時にお母さんに買ってもらった熊のキーホルダーを川に落とした時も『川遊びのついでや!』って男子達集めて見つけてくれた……そんな優しい笑騎が好きやねん!」


「なんやこそばゆいけど、そんなかっこええことしてへんと思うで?」


「かっこええよ、笑騎は……」


 美鈴ちゃんは顔を赤らめながら、俺に手を差し出した。


「私と付き合ってください……」


「……おっ俺でよかったら!」


 俺は美鈴の手を取った。

美鈴はガキの頃から兄弟みたいに仲のええ奴や。

その上可愛い!

こんな子の告白を断る男なんぞ、男ちゃうわ!!


「これからよろしゅうな! 美鈴」


「こっちこそよろしく!!」


 こうして互いに気持ちが通じた俺達。

順調に交際をスタートさせていき、友達からも仲良し夫婦と冷やかされるくらいに、俺達はラブラブなカップルになった。

何をするにもどこに行くのも2人一緒や!


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 美鈴と付き合ってから6年後……。

俺は高校卒業と同時に、おかんのツテで入った介護施設で働くことにした。

柔道の関係でスポーツ系の大学から推薦はあったけど、俺はそれを断った。

美鈴は心配してたけど、俺にとって大事なのは美鈴や!

あいつに少しでもええ暮らしをさせたい!

俺にはそれしかなかったんや!

おかんも『アホの面倒を見ずにすむわ!』って背中を押してくれた。

天国のおとんもきっと許してくれるはずやろ……そもそも俺に『女はええぞ~』ってエロ本見せて俺をエロに覚醒させた張本人やし……。

ほんで美鈴は大学を卒業して、結構有名なIT系の会社に入ることになった。


※※※


「笑騎こんな夜遅くにどないしたん?」


「……美鈴! 俺と結婚してくれ!」


 俺は美鈴の就職先が決まった数日後に、彼女を呼び出してプロポーズした。

その場所は、俺らの交際がスタートした学校の校舎裏や。

ほんまは夜景の綺麗なレストランとかでやりたかったんやけど、俺の懐が寂しくてのうぅ……。

あと、無断でこっそり入ってるから、警備員のおっちゃんい見つかる前にとんずらせなあかん!


「これが俺の気持ちや!!」


 俺はポケットから結婚指輪を美鈴に突き出した。

この指輪は、給料を少しずつ貯めて買ったもんや

なんて名前か忘れたけど、おとんが指輪を買った店で買ったから、大丈夫なはず!!(ソースはおかん)

無論、指輪のサイズもチェック済みや!!


「……」


 美鈴は目から涙をこぼした。

この時点じゃ嬉しいんか気味悪がってんのか、わからへんかったから少し不安になってもうた。


「……はい、よろしくお願いします」


 俺の不安やこれまでの苦労が、この一言で全て消え去った。


「よっしゃぁぁぁ!!」


「こらぁぁぁ!! 誰やぁぁぁ!!」


 その後、俺は美鈴と一緒に警備員のおっちゃんにしこためしばかれた。

でも事情を話したら、「ロマンの欠片もないのぅ……」と俺達を見逃してくれた。


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 それからすぐに俺達は結婚式を挙げ、正式に夫婦になった。

互いの親はガキの頃からもう親戚みたいなもんやから、家庭環境も問題あらへん!!

可愛い奥さんにべっぴんなお義母さん! ウマの合うお義父さん。

口うるさいけど、優しいおかん。


「美鈴! 愛してるで!」


「私も愛してる!」


 俺は日本一の幸せ者や~。

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