第38話 空想の未来

2022年5月27日


 次の日、彼がこんな事を言い出した。

「セックス、無理はしないで。したければしたらいいし、したくなければしないでいいよ。」

 彼は言う事がころころ変化する。

「私次第?」

「うん、Rさん次第。」

「私は。。やきもち妬いて欲しいだけ。ねぇ、彼女がモテたら嬉しい?それとも心配?」

「嬉しいよ。でも心奪われるのは心配。多分土曜日、こっちから誘わんでも相手から求めてくるん確定やからさ。一応ゴムは持って行ってね。」

 確定って。。彼の定義はいつもずれてる。

「しないから持っていかない。。」

「最悪犯されるから。」

「ないと思う。。罪悪犯されるって、だからハイ、どうぞってゴム渡すの?それに、受け入れたら付き合わないといけなくなるかもしれない。」

 犯されそうになってせめてゴムをつけてくださいと差し出すバカがどこにいるんだろう。彼は狂ってる。

「ううーん。そうなるかなぁ。」

「私の知り合いで遊ぶの止めてよ。自分で用意したらいいやん。軽い人いてないの?友達とかに。」

 彼の友人を差し出せというのもおかしな話だけど、自分の友人を犠牲にするよりはいい。

「何言い出すんw でも、きっとすることになると思うよ。普通にセックス楽しんできて。。でも付き合うのはダメ。」

「セックスして欲しいのはわかるけど、ごめん、この人とはしないよ。この人とセックスしても楽しめないと思うから。」

「うん。でも万が一したら報告はしてね。」

「しません。」

「わかったから。なら、写真裸撮らすんヤバくない?」

「それは別の話。私の事好きなら綺麗に撮ってくれそう。」

「んー。。オ○コ見せるのに?好きな女の裸とかオ○コ見せられて手を出さん男なんかおらんで。」

「どうだろう。。それにしても、人でなしやね。彼女をオモチャみたいに扱う。逆にオモチャにされても構わん?」

 ムチャクチャにしてやりたい。彼の人生と、奥さんの人生。長年培ってきた絆を引き裂いてボロボロにしてやりたい。

「やきもち妬きたいだけやねんけどね。オモチャにしてるつもりはないけど。。でも僕の事、オモチャにしていいよ。」

「じゃあ、私が億り人になったら、今の生活捨てて、仕事もやめて南の島で一緒に暮らして欲しい。海外旅行しながら気ままにね。稼げなかったら、あなたの事は諦める。」

 ちょっとした、私の決意だった。

「良いよ。僕も億稼げたら逆にそうするわ。」

 嘘だ。あなたに奥さんを捨てれるはずがない。捨てられるのは私。信じない。でも、ずっと嘘で固められた関係だとしても、そう言ってくれたのが、少しだけ救いでもあった。バカな私。

「あなたが稼いでも意味ないのよ。私を選んでくれるかわからんから。。」


「性癖として、寝取られ性癖があるからなだけやと思うねんな。。」

「え?話繋がらん。」

 何だか覚めた。彼は私が少し空想に浸っている間も寝取られの事しか考えていない。

「自分がやりたいと思う人とやるね。。それで報告する。やっぱりセックスは少し気持ちが入らないと楽しくないから。その代わり、私が億稼いだら、あなたの人生を私に頂戴。」

「結局しちゃったよってなると思うな。。。その時はちゃんと撮ってきて。」

「しつこいな。しないと決めたらしない。」

「こっちがそうでも、手ごめにされるよ。」

「想像だけしてやきもち妬いといて。」


「いつかハプニングバーに行きたいな。」

「いいよ。」

「うん。。NTRしてみたい。」

「うん。」

 もう好きにしたらいい。

「僕、変態よな。」

「んー普通。」

 変態と認めたい彼に、認めさせたくなかった。そんな普通で大した事ないと思わせたかった。

「そう?Rさんが他の男とセックスしてるとこ観たくて仕方ないんやで?」

「そやね。」

「観たいのよ。動画でもいいから。Rさんが他人とセックス楽しんでるとこ観たい。」

「生で見たことあるの?」

「ない。」

「そう。。観たい?」


 暫くメールの返事がなかった。

「寝た?おやすみなさい。」

「起きてる。シコってる。」

 気持ち悪。

「僕は観てたい。観ながらシコりたい。だから土曜にしたら必ず撮影して。」

「やらんゆーてるねん。」

「へへへ。」

「へへへやないわ。」

 死ね、コイツは。。

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