第23話 神対応
2022年4月2日
自分では気づかなかったが、周りの人間に彼との関わりの話をすると、神対応と言われることが増えた。元々カウンセラーの私は意識をすれば相手に全て合わせる事ができたし、先生の指導が自然に身に付いたのもあって、彼にとって居心地のいい人になっていたのかもしれない。
「Rさんとの関係もむちゃくちゃにしてしまってごめんね。」
「自分のこと責めるのやめようね。気にしてないよ。
私は感謝しかないからね。」
「こっちこそ感謝だけ。」
「そうかな。私は寂しくさせちゃったから。。」
「最近はどうしてる?」
「あー、4月で手術して1年だから検査はあるねー。再発してないといいけどね。」
「それが心配やね。良い人みつけれた?」
「そればっかり言ってるねw」
「ヤキモチやきやからね。」
本当に嘘つき。既婚ダミーの時、前の彼女の事、警戒してると言ってたよね。あんたは私に早く次の人を見つけてと言って遠ざけようとした。
「良い人早く見つけて欲しい?」
「いや、幸せになってほしい。」
「そう。今も幸せよ。一緒にいた時も幸せやったよ。
再婚する気ないから、好きな人といたいだけ。それだけでいいのよ。。」
一緒にいた時に幸せだったのは本当の事だ。でも不安でいっぱい、苦しかった事も思い出す。毎日胸がモヤモヤとして地獄の日々と言っても過言ではないと思う。思い通りにならない、不満がある事を言えない。それは彼が鬱病だから無理させられない気持ちと、我慢すれば円満でいられるって努力。
再婚する気がないと言ったのは、彼が離婚する気がないのならこれは好都合で、近づいてくる可能性が上がると思い、言ってみたにすぎない。
「僕は幸せにできなかったわ。性に溺れちゃった。。」
「私は幸せやったよ。だからそれでいいの。」
我ながら演技派である。
「なんか言わせちゃってるね。ごめん。」
それから私は返事をしなかったが、夜になって追いLINEがきた。まだ何か訴えたいらしい。
「僕はクズや。」
「大丈夫。クズじゃないよ。」
「クズだよ。そう思って開き直って今落ちるどこまで落ちてみてる。毎日楽しければ良い。先の事考えずにセックスしてる。」
「自分で決めたことなら、楽しいなら良いと思う。私は否定しないし、いつも味方よ。」
「否定してほしいねん。誰かに止めてほしい。」
「毎日楽しいのに、否定されたいの?」
「やってることがクズやもん。」
「セックスはクズやないよ。大丈夫。
自分を責めないでね。
薬飲んだ?あまり考えないで、寝るんだよ。」
「いや。Rさんと付き合ってたのにパニックなってセフレに手を出した。」
セフレ?一体彼の周りには何人の女性が屯っているのだ。以前に聞いたのはお金を払ってセックスした女性で、それがセフレになったということか?体を売る女性がセフレになる事もあるのだろうか。理解できない。混乱する。
「パニックなったから仕方ないよ。」
「パニックのせいにしてるだけでクズだよ。」
「でも私も悪いからさ。。あまり会えなくて、いつ会えばいいかもわからんくて、寂しくさせたし。ごめんね。」
「謝らないで。性に溺れても結局虚しいだけなんわかってるんやけどね。」
「性に溺れて虚しくなったことないからわからんくてごめんね。
考えすぎず、ゆっくり休んでね。おやすみなさい。」
最後は少し突き放したようなメッセージになってしまったが、それを送ってその日は終了した。
その後「おやすみ。」とだけ返事が返ってきた。
次の日、「おはよ。」とLINEがきたので
私も「おはよ。」と返事を送った。
「またいつかお互い落ち着いたらご飯でも食べに行こ。セックスは無しで友人として。」
「そやね~、ご飯いこ~。」
「うん。僕がセックスしたいとか言い出してもちゃんと断ってね。。」
この人はセックスの事しか頭にないのか。。
「分かったよ。」
「ごめんね。そんなことにならんようにするから。」
その後は既読スルーにするように先生から指示があった。それからしばらく彼とLINEのやり取りはしていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます