第21話 ダミー再び
2022年3月23日
既婚ダミーについて報告した後、先生から続けてメッセージを送るよう指示があった。
「なるほど。それなら、そのアプリで続きを入れていきましょうか!」
「それが。。アプリの方はブロックされてしまいました。すぐに会えない、写メ見せない、LINE教えなかったのが原因かと。私本人だと疑われてましたし。」
「そうですか。できればこのまま続けて、Rさんを擁護していって、彼の目を覚まさせたかったのですが!」
「警戒心凄く強いので、擁護すると本人だと思われませんか?写メ送れってしつこく聞かれましたから。今回既婚ダミーとして遊んでる女を演じてたので、疑われつつも色々話してくれましたが、嘘はたくさん混じってましたし、きちんと正確に話すつもりはないようです。」
「次は私がやってみましょう。何か、わざと既婚や、独身の設定にしているようにも感じますね。」
「わかりました。次は独身でいきますか?」
「独身でいきましょう!大丈夫、きちんとアドバイスしていきますので!」
先生と打ち合わせの後、アプリを登録し直し、また別人のフリをして入り直す。独身ダミーの誕生だ。そして彼にリクエストを送ってしばらくすると、
「おはよう!初めまして!」と返事が返ってきた。今回も返事は早い。
「宜しくお願いします~。」私もすぐに返事を返した。
彼は出会いを求めている。これは私の見立てではあるが、彼にとって私は仮想空間の人間だったんじゃないだろうか。それが、現実世界に足を踏み入れられたことで、逃避した。本当はそこまで体調も悪くないんじゃないかという気さえおきた。体調が悪いといって、私を遠ざけようとしているだけなのではないか。
私はプロフィールに、兵庫県在住である事、彼との共通項を増やす為に猫を飼っている設定にしていた。結局猫の謎も解けていないままだったからだ。そうすると、彼がその共通点に飛び込んできた。
「ぼくも実家でねこ飼ってますよ。」
ここでも犬の話は出ない。私には犬も飼っていると話していた。
「一緒ですね~。猫種はなんですか?」
「黒と三毛です。そちらは?」
犬ではなく、猫が2匹になっている。どういう事だろう。
「スコティッシュですよ。」
私は猫を飼ったことがないので詳しい事はわからない。とりあえず、会社の同僚が飼っている猫種にして返事を返してみた。
「あー可愛いよねぇ!」
「毎日癒されてます。」
「今は毛のはえかわる時期だから凄いよね。服が毛だらけ。」
これは、イコール実家で暮らしている事に繋がるのだろうか。それとも実家が近くてよく行くだけなのだろうか。
「うちも同じです、この時期すごいですよね~。」
「僕は飲食店やってるのでめっちゃ困るんだよね。お仕事は何を?」
「看護師をしてます。」
これも設定だ。
「わぁ。。大変そうなお仕事だ。でも何かいいねぇw」
いやらしい、エロが垣間見えたような気がした。
「やり甲斐で続けてられるのもありますね。」
「ですよねぇ。いい人はみつかりましたか?ぼくはなかなかです。」
「いいえ。まだ始めたてで。」
「ぼくもです。彼女と別れたから久しぶりに再開したって感じですね。ご結婚はされてるの?」
「してません。私も失恋がきっかけなんです。」
「そうなんですね。。兵庫県はどの辺に住んでるの?ぼくは京都市内ですね。」
独身ダミーに対しても京都に住んでいる事になっている。既婚ダミーの時もそうだったから。。ほぼ確実かもしれない。
「宝塚ですよ。」
「あー宝塚ファミリーランドがあったとこですねぇw 小さい頃行ったなぁ。」
「私も小さい頃行きました~。」
「動物園と遊園地がひとつになった感じが良かったですよねぇ。」
「懐かしい気持ちになります。しばらくそういったところは行ってないですね 。」
「USJとかも?」
「ええ。」
「ぼくも、USJとかもう何年も行ってないわ。」
「結構アクティブな方なんですか?」
「趣味は旅行とか海外に雑貨の買い付けとかですね。ソロキャンプとか。コロナで巣籠もりの時はゲームばっかりしてましたけど。。趣味は何ですか?」
「私も旅行好きですよ。今は中々行けなくなってしまいましたが、海外旅行に結構行ってましたね。
お一人で住まれてるんですか?」
「独身です。
僕は東南アジアによくいってましたよー。
お店が雑貨も扱う店なので買い付けで。」
「一緒ですね。
素敵ですね東南アジア!
どんなお店なんですか?」
「雑貨も置いてる小さなカフェですよ。
タイとベトナムによく行くかな。」
「お洒落そうですね。
コロナ禍になってからは気軽に行けないから、もどかしいですよね。
最近はお出かけしたりしましたか?」
「ソロキャンプが好きなのでコロナになってからはもっぱらキャンプばかりですね。今週末もソロキャンプ行ってきます。温泉も好きですよ。」
「ソロキャンプ興味あります。
女性の人口もだいぶ増えましたよね。
お休みの日は色々と動いてるんですか?」
「あんまり女性のソロキャンパー見たことないですけどねぇ。土曜が休みなので大体ウロウロしてますね。
良かったら間の大阪ぐらいでお茶してみたいですね。」
きた。。ここまでは、先生の指示通りゆっくりやり取りを進めてきた。その間1週間。独身ダミーはいい仕事をしてくれている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます