(三)-7

 加島は、再びうつむいてうなだれた。説教を食らってびっくりしたのだろうか。ともかく、彼を諦めさせねばならない。それは私のためでもあるが、それよりも翔太君のためでもあるし、なにより加島本人のためだ。このまま行くと、本当に警察沙汰のストーカーになりかねなかった。

 ともあれ、言うべきことは言った。それで加島が改心するとも思えなかった。

「もう二度と、今日みたいな真似はしないで。それから翔太君には二度と近づかないように。そうしなければ、本当に警察に突き出すことになるから」

 私はややドスをきかせた声で加島に聞かせた。そして伝票を手に取り席を立つと、会計を済ませて店を出た。


(続く)

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