(二)-7

 私はもう若くはない。肌の手入れは怠ったつもりはなかったけど、若い頃と比べたらずいぶんハリが失われている。だから若い男の子に気に入られるとは思ってもいなかった。その分、彼の行為が嬉しかった。

 あごまで戻ってきたキスは下唇にやってきて数回、そしてお互いの上唇と下唇を合わせるように重なった。さらに今度は彼の舌が私の口の中へと入ってきた。

 私は彼の舌を自らの舌で迎える。相手の舌の輪郭を舌先でお互いに確かめ合う。私も相手の唇の奥へ舌を入れる。彼も私の唇に入っていた舌を自分の方へ引き寄せて、再びお互いの舌でお互いの感触と味を確認しあった。彼の口の中は、さっき私が作った味噌汁の味がした。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る