子供の頃の続きを……今、ここで
「ハルくんと私で〝ちょっぴりエッチな事〟したのを」
「な――――なにをいきなりッ⁉」
俺はベッドから飛び起き振り返った。いつの間にか立ち上がっていた未希ちゃんが「しー」と人差し指を唇に当てる。
「下にいる二人が起きちゃうよ?」
「み、未希ちゃんがいきなり変な事言うからじゃないか!」
「ごめんね。けど
暗闇に慣れた俺の目が、微かに揺れている未希ちゃんの瞳を捉える。
忘れてなんかない。忘れられるわけがない。忘れろと言う方が無理がある。現に数分前にも頭の中で流れていたし。でも…………。
俺は未希ちゃんに背を向け壁と睨めっこする体勢に戻る。
「とてつもなく答えにくいよ」
「だよね。でも、はっきり否定しないって事はさ…………覚えてくれてるんだよね?」
「…………まぁ」
あーもう、なんだよなんだよ――どうなってるんだよこれはッ⁉ なんで未希ちゃんからあの時の話題を振ってくるんだよ意味わかんねーよッ!
暗い部屋の中で二人っきりのシチュエーション、話題が話題なだけに俺の男が過敏に反応してしまう。
まさかい未希ちゃんも同じ気持ちを抱いているんじゃ…………。
ドンと構えるのはおろか、立つ事すらままならなくなってきた理性。妄想は遠慮を知らずに広がっていくばかりだ。
「ねえ、ハルくん…………そっち、いっていい?」
「そ、そっちって?」
「ハルくんの隣」
もはや、勘違いするなという方が無理がある。
「……お好きにどうぞ」
舞花の存在が片隅にありながらも、俺はノーと突っぱねる事ができなかった。
最低だ。自覚があるからこそより一層そう思う。
「ありがと。それじゃ、その……お邪魔します」
でもそれは、軋むベッドのスプリング音によっていとも簡単にかき消されてしまう。
「こんなにおっきかったんだね……ハルくんの背中」
「そ、そりゃ、こっちも成長してますから」
そっと背中に伝わってくる熱。張り続けている虚勢が剥がれるのも時間の問題かもしれない。
「ねえ……こっち、向いてよ」
「な、なんで?」
「いいから」
その強引さに喜びを感じている俺は多分、相当気持ちが悪い。
だから俺は、逸る気持ちを必死に抑えて
「「……………………」」
息がかかるほどの距離に未希ちゃんの顔があり、その頬はほんのり紅く染まっている。
ゴクリ――と、あまりの緊張から俺の喉が大きな音を立てた。
その音を確実に拾っていたであろう未希ちゃんはクスっと微笑み、それから艶っぽい表情をして口を開いた。
「しよっか…………子供の頃の続き♡」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます