告白はいたずらの後で
四ノ崎ゆーう
第1話 これは、僕の物語――
「
「はい、ありがとう。次、
「はい。はじめまして、僕の名前は、
僕は昔のことを思い出していた。2年前の自己紹介の時の話。これが、僕と海くんの最初に出会った時だから――。
今はその時から2年経っている。つまり、今の僕らは高3だ。
「海くーん!」
「ぐはっ。な、なんだ、幸か……。急に押してくるなよ……」
「ごめんごめん」
「それで、何の用だよ。まさか、ぶつかってきただけとか言うなよ」
お、流石は2年の付き合い。考えを読まれますな〜。まぁ、半分正解ってどこだけどね。
「もー、しっかり海くんに用があってぶつかりに来たんだよ! 高3になってどんな気持ちですか〜? 率直にどうぞ」
「ん?今、用があってぶつかりに来たって言わなかったか……?」
「そんなんどうでもいいから、さ! 答えて!」
「そ、そうだな……、最高学年の先輩としてみんなを導かないとなと思ってる……?」
「ぷっははは、何その先輩面!ちょー、似合わないー!」
「う、うっせぇー!べ、別に先輩面なんてしてないぞ。俺は……」
あははは!海くん嘘ヘタ〜。内心では、最高学年になって、1番上の先輩になって、それはもう浮かれてるだろうに。まぁ、僕はそういう海くんが好きなんだけどね。
「じゃあさ、幸はどう思ってるんだよ! 高3になって!」
「えー僕? 僕はねー、高3になったな!って思ってる!」
「うっすー……。気持ちちょー薄いじゃん……」
「あははは。確かに薄いかもね」
こうやって、海くんをからかったり、いたずらしたり、遊んだり。こんなことできるのも残り1年……。寂しい思いもあるよ。これが、僕の本音。まぁ到底、海くんには当てられないだろうけどね。
……。ここまでが、高3の最初の方の話。本当にこの今までたくさんの思い出ができたね…。
〜高校、最後の花火大会〜
「おい、幸! そんなに走るな! まだ花火大会まで時間があるだろ!」
「特等席で見るんだよ!僕と海くんとで」
この、青春ラブコメ的な展開……。燃えるね。
「あ! ここ! ここがいいよ。ここは見やすい」
「なんかやけに……、林が近くないか?」
「ん? 別に?」
ふふーん、僕は知っている。海くんはセミが大の苦手だってことを!! これを使った、いたずらを仕掛けてやろう。しめしめ。
「あ!」
“ピュ〜〜……パーン!”
「「ほわぁ〜」」
「やっぱり夏の風物詩だな。花火は!」
「そうだね。僕もそう思うよ」
〜10分後〜
そろそろ仕掛け時かな。
「さっきさ、夏の風物詩って言ってたじゃん。海くんにとっての夏の風物詩ってなに?」
「ん? そうだなー。夏祭り、花火、暑さ、嫌いだけどセミとかか?」
「うーん、そうかそうか。確かに風物詩だねー。……。あ! 海くん! 海くんの背中に夏の風物詩がいるよ。」
「ん? 風物詩……? ま、まさか! セミっ!?」
「あ、そうそう」
「ちょ、ま! どこどこ!?」
「ちょっと待ってよ、取ってあげる」
「本当……、ありがとう……」
「はい、取れた。」
「はぁ、マジ感謝……。ありがとう……」
「いえいえどういたしましてー…。えい!」
僕は、海くんめがけてセミの人形を投げつけた。
「ふぉぎゃー!」
海くんがびっくりしすぎて気絶してしまった……。流石にやりすぎたかな?
「う、海くん? 大丈夫? こ、これはおもちゃだよー……。おーい」
ど、どうしよう。僕のせいで海くんが死……。
「ばぁー!!」
「ふぎゃぁー!」
「あははは! 引っかかったな! 幸! 俺は最初から、セミが背中についていないことを知っていた!」
「ぐぬぬ……、まさか海くんに仕返しをされる日が来るとはね……」
「ぐははは! これからは俺を甘く見ないことだな!」
これが、海くんが僕に初めて仕返しをしてきた日だったね。まぁ、それ以降フツーにいつも通りいたずらを仕掛けたらしっかり引っかかっていたけどね。あの甘く見るなは何だったんだろうね。
はぁ、本当に懐かしい……。
あの後は、フツーに花火を見て、屋台を楽しんで、公園で追加花火をして――、楽しかったな。また、こんな楽しい日は訪れるのかな……。
「海くん! 最後にさ……、一緒に写真取ろうよ!」
「あ、うん。いいぞ」
「はいチーズ!」
“パシャッ”
「この写真、送っといてあげるよ。」
「おお、サンキューな……。って、おい。俺の顔だけバケモンにすんな」
「ぷははは、この写真は面白すぎでしょ!」
そう、これが最後かもしれない。これからは、違う道に進むだろう、会うことも少なくなるかもしれない。なぜなら今日は、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます