真意は夢の中で。
大林は気だるそうな顔をして探偵が目を覚ますのを待つ。
調査するフリをしてどうせ寝ているのだろうと確信していたからだ。
俺が依頼した謎は、「後藤の死体が他の死体と比べて表情が笑顔に近い」
という些細でちっぽけなものだった。
冷静に考えればただの俺の主観である。
それとは別に死体が握っていたガーベラ、
そして側に落ちていた煙草、ライターにも少し違和感を覚えていた。
が、亡くなったお婆ちゃんへのお供物が
倒れた際に仏壇の上から落ちたものだという解釈がされていたので探偵に調査してもらうのはやめた。
二時間くらいが経ち、
「もういいです。今日はお帰りください。」
と宣告しようとすると探偵は、
「いい夢だ…いい夢…。」
と聞こえないように呟いたのちに
眼を開き、ゆっくり椅子から立ち上がった。
眼には薄く涙が浮かんでいた。
本当にどうかしているんじゃないかと心配になり、
「大丈夫ですか?」
と声をかけると探偵は
「全てわかりました…」
と悟ったように言った。
「わかったんですか⁉︎じゃあ、理由を教えてください!」
と聞くと探偵は少しの涙を右手の人差し指で拭い呟いた。
「愛ですよ…。」
大林は最後までこの変な探偵が何を言っているのか分からなかった。
夢を食む探偵。 羊 @maton2
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