おっさん転生〜異世界に転生したおっさんは、かっこいい幼女になりたい〜

猫屋敷

序章

第1話 失った命

企業のリーマンである俺の名前は、未会堂ミカイドウ琇三シュウゾウ

今年で40歳。彼女いない歴年齢だ。

独身貴族である俺は、日々仕事に打ち込むが、周りは子供が大きくなっていたり。家庭を持っていたりしている。寂しいと思うことは、時々あるが、あまり気にしないようにしているのが、現実。

もう40歳ともなれば、彼女なんてできないだろう。と、もうすでに諦めている自分もいた。


そんな俺には、日々楽しみなことがある。

それはまさに、アニメ、ゲーム!

それはまさに、至福の時間。独身貴族を楽しんでいるとも言えるだろう。

今日も見たいアニメがわんさかとある。最近はDVDを借りて、宝庫のようにしている。


そう思いながら、会社から家に帰る道中を歩いている途中、家が燃えていた。人だかりが出来ており、その中で一人の女性が涙ぐんだ声で、声を荒げていた。


何が起こっているのか。

その近くへ行き、女性に声をかけると、燃えている家の中に、女の子がいるとの事だった。

マジかよ…。

時間帯的には、夜。月が顔を出しているそんな中で、燃えたぎっている家。

そして中には、女の子。

やばい状況だと、すぐに分かる。


家の中へ入り、女の子を救出することができたら、苦労はしないだろう。だが、死んでしまえば、元も子もない。

消防車、救急車を呼ぼうとした時、ベランダの方から女の子が顔を出した。


「うわぁぁぁん!おかぁぁぁあさん!」


助けを求める女の子の声が、響き渡る。その声を聞いた俺は、次の行動に移したのは、早かった。


「待ってろよ!俺が助けてやるから!!」


俺は女の子にそう言い、燃えたぎっている家の中へ入り込む。

上へ上へと上がっていき、女の子がいたベランダの方へと着く。


「さぁ、お嬢ちゃん。もう大丈夫だよ」


俺はゆっくりと近づき、震えていた女の子を抱える。

帰ろうとしたところ、木造建築な家なのか、天井の木が落ちる。全焼になりそうな勢いの火なため、戻ることが出来るかどうか、不安へと変わっていく。


(ぐっ、この子だけでも……)


その子を抱えたまま、俺はベランダの方を向く。


「お嬢ちゃん、お母さんのところへ行くんだよ」


無茶だと思ったが、退路が絶たれたこの状況では、仕方のないと思う。


「お母さん!娘さんを受け取ってください!!」


俺は少女をお母さんの方へと投げた。無事に受け取ってくれる事を、ただただ願うだけだった。

無責任だと思う。だが、これで女の子の生存率が上がるのなら…。


「お母さん!」


どうやら、受け止めることができたらしい。俺は、焼け切っている家の中で、そのまま座った。


熱い…。

熱い……。

熱い。


炎が俺の体に移り、泣いてしまいたいほど、燃えている。


(DVD……、友人に返してもらおうかな)


借りてたDVDをどうするか。


(本当は結婚したかったなぁ)


結婚。

子供、

家庭。


願望がポロポロと溢れ出してくる。


平然に誰かを助けることができるようになったりとか。

誰かのために動けたりとか。

憧れていた、ヒーロー。


その様になりたかった。


アニメの様な、かっこいい主人公に——。


そして———

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