ディスコード
武田 柚子
プロローグ
「ふぅ…」
仕事から帰宅して、おもおもしく玄関の扉を開ける。やっと一息つける、というような心持ちでやっとこさの小さなため息が出る。
靴を脱ぐのももどかしい。一瞬で靴が脱げてるような世界になればいいのに、と思う。
じっとりとした靴下も一瞬で消滅して快適な足に変わればいいのに、とももちろん思う。
もうとにかく何もかもがめんどくさいのだ。
足早に玄関にあがり、リビングにつながる廊下でジャケットを脱いで廊下に放り落とし、ネクタイを緩めてくぐるとそれも落としていく。
リビングにいる飼い猫が、廊下を隔てるドアのすりガラス窓越しにウロウロしているのが見える。
ワイシャツのボタンをはずしていきながら、やっとリビングに入る。
すかさず足元に長毛の茶トラの飼い猫が体をまきつけてくる。
仕事が終わったんだ、帰ってきたんだ…!と心から実感する。
肩の高さに 飼い猫を抱っこして赤ん坊をあやすように背中をぽんぽんとたたく。たたきながら寝室に繋がる階段に向かう。
ゆっくり一段一段のぼりながら頭の中でもやもやーっと考える。
ベッドに早く横になりたい。そしてすることはひとつ。頭の中で想像するまでもなくすでに数年に渡り、毎日の一連の動作となっていること。
ベッドの横たわったら、2台のスマホで、
-------------ディスコードのアプリを開くのだ。
さぁ、なんの予定も入っていないゴールデンウィークの1日目が始まる。
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