第25話
僕はアビリティ・スキルを読み解くのに真剣になっていた、その近くでマナチは僕の事をぼーっと見ているのも、なんとなく気づいていたが、今は生き残るためにもっと詳しくならないtいけないと思っていた。
「ねぇ、ヨーちゃん……何かわかった?」
「ん……? ああ」
そっけない返事を返してしまった、マナチは少し頬を膨らましていた。かわいい。
「何を見てるの?」
「ん~、銃の部分をより詳しく見てる。マナチも見た方がいいと思う」
マナチは僕に言われ、しぶしぶとアーミーナイフのアビリティ・スキルを表示させ、銃を見る事にしたようだった。彼女は眉間にしわをよせて、うんうんと唸りながらもっと見るのだった。
「え、名前が変わった……HKA-502?」
「え、どういうこと?」
「今までアサルトライフルって書かれていたのが名前が変わったんだ」
僕は自分のクリスベクターカスタムも何か名前があるのかもしれないと思い、詳しく名前があるのか知りたいという意識でアビリティ・スキルを見てみた。すると名前が揺らぎ、そこに「ブレイクスルー」と追加された。
「ぼ、僕のも変わった!」
「えっ、ほんと? なんていう名前になったの?」
「クリスベクターカスタムブレイクスルー、って書かれている」
より知ろうという思いによって、さらに詳しく表示されていく事を知った。
僕たちは他のアビリティ・スキルや防具にも何か意味があるのかもしれないと思い、それを確かめることにしたのだった
「私の装備がどうして厚ぼったいのか知りたいから見てみる」
「マナチは堅そうだよな」
「中身は柔らかいもん」
そう言いながらマナチは自分の防具を詳しく見ていくのだった。僕も自分の防具について見てみる事にした。
「……事故または故意によるダメージを受けた事により防御力を特化した防具にカスタマイズされた為、重装備にカスタマイズされた。また銃の反動や外部からの衝撃などを自身へダメージがいかないようにする、って書いてある」
「つまり見たまんま固いってことだね」
「むー」
彼女は、何か納得がいかないのか、眉間に皺を寄せながら僕には見えていないアビリティ・スキルとにらめっこしていた。
すると何か見つけたのか、マナチが喉から絞り出すように震えた声で言った。
「ね……ねぇ……ヨーちゃん……」
僕はいつもよりも深刻さを伺える声のトーンからすぐに彼女の方を見た。今にも泣きそうな顔をし、不安を前面に出している彼女は重要な何かを見てしまったのかもしれないと感じ取った。
「どうした? 何かあったのか?」
「せ、生存確率ってどういう意味?」
僕はマナチがアビリティ・スキルから何かを読み取ったのだと感じ取った。しかし、その生存確率という言葉の意味を正しく理解できるかは別だった。
「ごめん、どこに書いてあったんだ?」
もしかしたら、自分も書いてある場所を見つければ詳しく知ることができるかもしれない。
「自分の防具を詳しく見ていたら、出てきたの。どうして私の防具って他の人と比べてこうかわいくないんだろうって思って、見ていたら詳しく出てきて、それで生存確率っていうのが表示されて、そこに――出てきたの」
防具のところを見ていくと、装備しているものについて詳細が出てきて、生存確率というものは表示されなかった。僕は、もっと銃と同じく詳しく知ろうとしないと出てこないのかと思い、意識を集中させていった。
装備している防具は、動きやすさ重視のものだった。防刃、防弾、防塵、防水、防火、防疫、と様々な防衛対策がされた服だった。詳しく見る事ではじめて知り、そこに身体補助という言葉も見つける。それぞれどういった効果があるのか、意識を集中させると言葉通りの意味が文章で表示され、想像した通りの説明に納得していった。
すると何も無かった場所に生存確率という文字が表示され、その横に数値が見えるようになった。
アビリティ・スキルを表示しているステータスウィンドウ内ではなく、それだけが視界の隅に表示されていた。
表示された生存確率の数値を見るとそこには9%と表示されていて、僕はその数値が低いと感じた。そのことに動揺していまい、しきりに口元に指を這わせて、自分の唇が震えていないか確かめた。
実際に震えていたのは唇ではなく、指の方だったけど、僕にとっては些細な事だった。
「だ、大丈夫? ヨーちゃん大丈夫?」
「あ、ああ……大丈夫」
なんとか返事はしたものの、大丈夫じゃなかった。生存確率ってなんだ? 9%という数値は低すぎないか?
頭の中でぐるぐるとどうしたらいいのかわからなくなってきていた。
「ヨーちゃん、大丈夫か?」
ムッツーが僕に気を使って、話しかけてきてくれた。
「ああ、ちょっとわけがわからなくなって、その情けない事に今できる事が何かわからなくなったんだ」
僕は驚くほど、素直な言葉に出ていた。
「あ、あの! 今ある防具を最新化して装備するくらいしかないと思います。あとはそのもっと知っておこうって思えばきっと……家に帰れるって私は、信じてます」
ツバサが僕を励ましてくれ、その横でジュリが頷いていた。
「ありがとう、ツバサ」
僕は深呼吸して、なんとか落ち着きを取り戻した。
「大丈夫そう、だよな?」
「ありがとう、ムッツー」
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