第6話
あの後、俺はいつものように授業を受けた。
いじめは終わらなかったが、いつもよりはマシだった。
いつものような暴力はなく、物がなくなったり壊されたりと軽いものだった。
俺は、自分の物が壊されるのが嫌でほとんどの私物を学校に毎日持って行っては持って帰ってるのでそれほどダメージはない。
今は戸惑っていても、時間が経てばみんな新しい俺に慣れてまたあの地獄みたいな生活が再開するだろう。
俺が家に帰るために落書きされ、ボロボロになったカバンを持ち上げ席を立つと川内が彼の取り巻きを連れて近づいてきた。
俺はそいつらに冷めた視線を送る。
それが気に食わなかったのか険しい顔をしてこちらに向かってくる足を速めた。
俺はもともとこいつらが俺の方に向かってくるときはおびえてるような表情を作り上げていたので俺の態度が気に食わなかったのだろう。
だが、俺は川内たちを無視して教室を出ようとする。
すると俺の肩を誰かが掴んだ。
「ちょっと待てよ。渡辺」
「俺になんか用か。用なら後にしてくれ。俺はお前らと違って忙しいんだ」
「あ…?…んだと!?」
一瞬何を言われているのか理解できないような感じだったが理解した瞬間に頭に血が上り俺を攻撃しようとした。
「ちょっと待って、純君」
川内が俺に拳を向けると正妻の小桜が川内を止めた。
「…けどよ杏奈、見ろよこいつの態度」
俺を指さしながら川内が言う。
「知ってるよ」
小桜が川内に子供を諭すような口調で言う。すると、俺の方を向くと。
「あんたなんかが純君の命令に逆らっていいわけないじゃん。あんたに人権なんてないから」
これくらいで俺の心は刺激されないが、俺の感情に足しておこう。
こうやって、お前らに対する憎悪を溜めて、溜めて、一気に爆発させてやる。
「……はぁ。それだけか?俺はもう行くぞ」
俺はこう言いながら教室を出る。
こいつらが俺に何を言うか気になったから無視しなかったがこんなことなら無視していい。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」
小桜の言葉を無視して、帰路に着く。
□
この学校には二つ校門があり、西側と東側がある。
俺の入れは西側にあり、川内一行は東側にある。
俺はいつもとは違う東側の校門を出た。そして、周りに誰もいない場所に移動すると自分の姿を消した。いわゆる、透明化というやつである。
そして学校から出てくる生徒たちを見る。
数分立った後川内たちがやってきた。
メンバーは川内、小桜、妾Aの七瀬、妾Bの皆川である。
別に川内に男友達がいないということではないが、登下校はいつもこの四人だ。
川内はこの三人全員に手を出していて、他の女子生徒にも手を出している正真正銘のヤリチンである。
その川内のハーレムメンバーの筆頭がこの三人ということになる。
学校屈指の美少女たちがこの三人。
小桜は金髪碧眼で巨乳、七瀬は黒髪で正統派美少女、皆川は茶髪で小柄で胸もそんなにないがとても顔は整っていて、ボディラインはめちゃくちゃいい。
そして、俺が最初に復讐するのが皆川だ。順に七瀬、小桜、川内だ。その後に学校のやつら。
俺が皆川にされたことは金をとられる……このことを考えていると記憶が頭によぎる。
『…返してよ。それがないと…』
『えーっと…。えー、たった千円しかないんですけど?見てみて……あひゃひゃひゃ。…何よ。なにか言いたいことがあるの?言ってごらん』
『……そ、それがないと、昼ごはんが…』
『え?昼ごはん?そんなのゴミ箱でいいじゃん』
『ね、ねぇ…前貸したペンは…?』
『え?…あー、臭すぎて捨てちゃった』
『…え。で、でも…あれ結構』
『でも、なによ』
『…あれ結構高かっ、たんだけど……』
『それで?』
『あ、それ…僕の携帯…』
『めんごめんご、間違って落としちゃった』
『え……?』
『許してくれるよね?私たち友達だもんね』
これだけじゃない。こんなのいい方だ。
責任転嫁で先生に怒られたり、パンチバッグにされたり、もっとひどいこともされてきた。
復讐だ復讐。
俺は他の三人と別れた皆川をつけながら再び心に誓った。
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