クズが超能力を使ってこの世界に復讐する話

いくら

第1話 主人公の説明のようなもの

 なぜいじめは起きるんだろう。

 なんで俺はいじめられてるんだろう。

 意味が分からない。

 意味を求めても仕方がない。

 そういうものだから。 

 出る杭は打たれるから?

 だから、俺はいじめられてるのか?

 くだらねぇ。こんなどうせ答えも出ないことを考えても意味ないのにな。

 つい、この後起きることを考えると学校へ向かう足が重くなる。

 何度も何度も同じことを繰り返してきたのに、未だに慣れない。このくそみたいないじめられっ子生活は。

 俺は他人よりすべてが優れていた。ナルシストとかではなく事実だ。中学生の時はよかった。能力が高いと周りにちやほやされるし、俗にいうリア充だったんだと思う。

 それで舞い上がって頭のいい高校を受験し、見事合格。

 俺はもっと能力が高い人と競い合って「青春」したかったんだ。でも、その高校でも俺はずば抜けて能力が高かった。

 でも、この高校に通ってる人たちも能力が高い人たちなのも事実だ。

 だから、彼ら彼女らのプライドが大きくなっていて、俺という存在を許さなかったのだろう。

 入学していつしか、陰口を言われるようになり、それが悪化していじめになった。

 もちろん最初は反抗しようとしたが、俺の周りには仲間がいない。

 俺一人ではどうすることもできなかった。

 先生を頼れ?頼ったさ。でも、先生が出来ることなんて怒ることくらいだ。

 もちろん、先生に言いつけたとかで悪化した。

 本当に、学校に行きたくない。


「よう正輝まさき!」


 また今日も、同じことが繰り返されるのか。暑苦しい声が後ろからする。

 足音が近づいてきて俺の背中を思い切り叩く。

 悪意のある行動だ。

 一般人なら数分はその痛みに苦しむだろう。

 でも、俺はそれなりに耐えられるようになった。


「うおっ。……いったぁ」


 それでも、こけるふりをして痛がるふりをする。じゃないとこいつらは満足しない。


「あはははは!弱っちいな、これくらいで倒れるなんてよ!」


 そう言いながら倒れた俺を放っておいて学校に向かった。

 今、俺のことを叩いてきたのは俺はリア充(笑)と呼んでいる。俺のいじめっ子は学校全体みたいなものだが、その筆頭だ。

 名前は確か、川内純かわうちじゅんだ。学校では1年の中で一番トップに君臨して、美少女を侍らせてるリア充(笑)だ。

 別に覚える必要はないが、その美少女たちの名前も一応言っておく。

 正妻が、小桜 杏奈あんな、妾Aが七瀬 絵梨奈えりな、妾Bが皆川 真里菜まりなの3名だ。

 なぜかは知らないが川内はモテる。顔はまあいい方だ。でも、俺の方が整っている。

 普段は化粧で一般人くらいまで下げてるけど。

 能力が高いことでいじめられたのだから、みんなに合わせたら次は新しい攻撃材料を見つけたと言わんばかりにそのことでいじめが悪化した。

 だから、いつしか諦めていた。

 そんなことを考えながら学校に向かっているとやっと着いた。

 下駄箱を見てみると……あら不思議、ゴミがいっぱい。でも大丈夫、だって毎日上履きは持って帰ってるから。

 よし、今日も平常運転だ。よし、じゃねぇだろ。

 まあ、この学校でいじめられてるのは俺だけじゃないんだが。俺の真逆、能力が低くていじめられてる生徒が一名いる。

 その名も、真南まなみ理奈りなだ。多分磨けばそこら辺のアイドルより数倍可愛くなると思う。

 すると、教室の目の前に着くとドアを開ける。

 見えてくる光景は青春そのもの。みんな友達と楽しくしゃべったりゲームしたり、昨日のテレビの話をしてたり。 

 だが、一つだけ青春じゃないものがある。

 それは俺の机だ。

 もう、ボロボロ。落書きのあと、針、なんでもありだ。

 この学校ヤバいだろ。特に生徒と先生が。

 俺はその机めがけて歩きはじめるとくしゃくしゃに丸められた紙が飛んでくる。頭に当たって落ちてくる紙をキャッチし、開いてみると


『あっちいけ、このクズが』


と書いてある。

 今まさにあっち行こうとしてたんですけど?

 まあ、今更こんなことで動揺しない。俺はこいつらのことは何とも思ってない。 

 そんなこんなでいじめられながら学校が終わった。

 今日は、画鋲、机がどっか行ってる、暴行だけで済んだ。

 もう本当に、ひどいときは動物のフンとか死体とかあるから。 

 やっと学校が終わったー。

 ああああああ。

 無心でこっちに飛んでくる悪口を無視しながら帰路に着く。

 ここまでくればもう安心だ。 

 銀行の前を通ったところで「強盗だぁ!」という叫び声が聞こえ後ろを振り向くと大きな袋を抱えた男が俺をめがけて走っていた。

 手元を確認するとナイフを持っていた。

 あ……やば。

 

「どけぇぇ!」


 ぐさ


 あ~。


 ばたん





『大丈夫……あなたは死なないわ』

 

『こんなに魅力的なヒトを死なすわけにはいきませんもの』


『ああ…あなたを辱めるヒトなんて消えればいいのに』

 

 そんな声が聞こえる。

 俺に言っているのか?

 目を開けてみるとそこは真っ白な空間だった。

 そこに一人おじさんが立っていた。


「おじさんとはどういうことじゃ。まあ、否定はせんけど」


 声を出そうとするが声が出ない。

 誰だ?このひと


「わしは神じゃ。そなたには女神を魅了する能力がついておる。女神たちの意見により復活するのじゃ」


 あ、ああ。あの通り魔か

 ……俺はあの世界には戻りたくない


「案ずるな…そういうと思って女神たちがそなたに特殊な能力を与えたのじゃ」

 

 ………


「俗にいう超能力じゃ」


 ちょうのうりょく?


「なんでもありじゃ。多分斉木楠〇よりも便利じゃ」


 ま、まじか


「じゃ」


 え…?

 ちょ、ちょっと





 ……知らない天井だ。

 病院か。…なんだ、さっきのは夢か。


「先生、起きました」

「なに!?」


(そんなはず……生き返るなんて、ありえないのに)


 なんだ、今の声は?

 

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