第12話 0,01ミリ殺人事件
「ご苦労様です」
築四十年は経っていそうな古いアパートの一室に入ると、
「仏さんは?」
「こちらに」
工口は朝立に案内されて、事件現場の部屋へ移動する。
「……何だこの部屋は?」
そこは異様な空間だった。
単に散らかっているというだけではない。マシンバイブに電マ、手錠、猿ぐつわ、
「ガイシャは
相模美衣子の死体はベッドの上で裸の状態で倒れている。首には紐で絞殺された跡がくっきりと残っていた。
「こりゃ行き過ぎたSMプレイで殺してしまった線で決まりだろう。相模美衣子に恋人は?」
「
「じゃあそいつがホシで決まりだ。それにしても寒いな」
殺人現場の部屋は窓が全開になっていた。窓から雹が入って来ていて、外と変わらない厳しい寒さだ。
「ところがそうはいきません。管理人が現場は内側から鍵をかけられた密室だったと証言しています」
「窓から逃げれるだろ」
「いえ、窓の下は丁度防犯カメラに映る場所なのです。窓からの逃走は不可能です」
「……ギブ!」
工口は早々に白旗を上げて、
⛄ ⛄ ⛄
「犯人、わかったんだけど」
「……うんエリカちゃん、犯人は僕もわかってるの」
「決め台詞くらい気持ちよく言わせてよね」
スマホ越しにエリカの不機嫌な声が聞こえる。
「現場は古い建物だし、ドアノブの形状は
「なるほど。水が勃起すると氷になる、と」
工口のセクハラ発言をエリカは華麗に
「あとは体当たりでドアを破るときに壁に握り玉をぶつければ、氷は砕ける。窓から入ってくる雹に紛れれば証拠は残らない」
こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます